コロナだったからこそできた「教育」-生徒の声で気付かされたこと
アイスの自動販売機は生徒たちに大好評
昨年3月2日からの一斉休校の後、青稜では6月になって分散登校を実施。通常登校を再開したのは7月2日だ。季節はすでに夏になっており、生徒たちの「暑い」という訴えから、青田校長が気付かされたことがあった。
夏にマスクをしていると、息がこもり、通常より汗をかく。「アイスクリームの自販機があったらいいな」という声を耳にした青田校長は、早速グリコ「セブンティーンアイス」の自販機を設置した。「こんな時だからこそ、学校を楽しい場所にしてあげたい」という思いからだ。
そして問題になったのが、生徒たちの水分摂取だ。青稜の全校生徒数は約1600名。各フロアに設置されていた冷水機は20以上あったが、衛生的な観点から、すべて使用禁止にした。
衛生概念から冷水機の使用は中断
「最初は水筒を持って来させていたのですが、どうしても足りない。昼休みを過ぎると、空っぽになってしまう生徒が続出しました。紙パック飲料の自販機は元々あったので、水筒の中身がなくなったらそれを買うだろうと思っていたのですが、変だなと思い始めたのは、9月頃からです。職員室に浄水器があるのを知っている生徒たちが、『水をいれてください』とやって来るようになったんです」
元々設置されていた紙パック飲料の自動販売機
最初、青田校長は節約しているのかと思ったが、どんどん職員室に“給水“に来る生徒が増えた。
「青稜には、ゼミナールという総合学習の講座があります。僕もそのうちの一つを担当していて、SDGsをテーマにしているのですが、それとは別に『最近学校にやってほしいこと、ないの?』という雑談を結構するんです。大人が『こうすれば良いだろう』と考えるよりも、聞いたほうが早いですから。そうしたら、ある時『水がほしい』と言われたんです。ジュースや牛乳、砂糖入りのような甘い飲料はまた喉が乾く。節約というよりも、単純に『水』がほしい、ということでした。
そこでサントリーさんに連絡して、天然水だけの自販機を作れないかと相談しました。サントリーさんを選んだ理由は、SDGsに力をいれているのが印象的だったからです。せっかくなら生徒への教育にもなれば、と思って」


