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SNSに蔓延る「悪意あるものたち」 匿名アカでもつけこまれる構図

SNSは「猟場」と笑う人たちがいる(イメージ)

SNSは「猟場」と笑う人たちがいる(イメージ)

 SNSは交友関係を広げたり情報交換には便利なツールだが、その手軽さに気を許すと、思わぬところから足もとをすくわれることもある。ライターの森鷹久氏が、SNSを活用して相手の懐に潜り込み、人を操ることもできると嘯く元情報商材販売業者に、人心掌握の「コツ」を聞いた。

 * * *
 大学入試の合格発表の季節になると、ツイッターなどのSNSに「○○大学に合格しました」「春から〇〇大生」などと、4月から始まる新生活への期待を膨らませた書き込みが増えてくる。書き込みそのものはとても微笑ましいのだが、それに対して怪しい宗教、マルチ商法やカルト関係者たちから「勧誘される」危険性があるということで、一部の大学が学生に注意喚起を行っていると話題になっている。

 こうした傾向は、SNSが身近になった近年では「お馴染みのこと」と認識されつつあるが、注意をすべきなのは当然、若い学生だけではない。

「SNSはカルトやマルチ、怪しい新興宗教関係者にとっては猟場と言っていい。何より手っ取り早く、使い方さえマスターすれば、大きな金になるからです」

 こう証言するのは、かつてねずみ講まがいの情報商材販売業に身を置き、SNSを使った勧誘を繰り返すことで、一時期は年に数百万円の収入を得ていたという本田俊樹さん(仮名・30代)。ツイッターやインスタグラムなど、本名で登録しなくてもよいことが前提のSNSは、本名でない分、人々が本音をさらけ出しているため、ターゲットを簡単に見つけられるのだと説明する。

「文句がある人、不満がある人、みんなツイッターに匿名でガンガン書き込むじゃないですか。どれも本名だと言えないことばかり、本音なんですよね。死にたい、自殺したいって人を狙う殺人犯や、金が無いと書き込んでいる子を買春野郎が狙うのと一緒で、本音の投稿を見つけては吟味する」(本田さん)

 具体的には「会社がつらい」「学校に行きたくない」などの不満ばかりをぶちまけているSNSアカウントを見つけたら、まずはフォローしたり他人からは見えないリストに登録し、その動向をよくチェックすることから、本田さんの「狩り」は始まる。「不満」を晒している人は、共感さえしてあげると取り込みやすい、というのが本田さんの持論。その際、標的を見つけるために作った本田さん自身のアカウントでも、事前に「会社がつらい」「学校が嫌だ」といった書き込みをし、プロフィールも変更。フォローされると、そのアカウントはどんな人なのかと確かめることがあるが、そういう時に、少しでも共感してもらえるよう、下準備を行っておくというのだ。さらに──。

「チェックの過程で、他のSNSアカウントがないかも探しておきます。不満をこぼしているのは匿名のサブアカ(サブアカウント)であることが多く、本名で利用している本アカ(本当のアカウント)に紐付けられればベスト。意外とこの辺りをバレバレな状態にしている人は多く、すぐに見つかることも少なくありません」(本田さん)

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