イギリスも事情はよく似ている。英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子氏が言う。
「エリザベス女王と親しいスペンサー伯爵には美しい3人の令嬢がおり、三女が後に皇太子妃となるダイアナさんでした。王室は彼女たちが幼い頃からチャールズ皇太子のお妃候補として成長を見守ってきたと言われます。当時、有力貴族の令嬢の多くが同様にリストアップされていた」
しかし、現在はその慣習も薄れてきたようだ。
「ウィリアム王子と結婚したキャサリン妃は民間出身で、母方の祖先が炭鉱で働いていたことがわかり、結婚前には“炭鉱から王室へ”とも報じられました。
女優で、両親に破産歴があるメーガン妃も、事前にチェックが入ったり、身辺調査を元に反対を受けたという話はありません。人権問題に敏感な現代のイギリスではそのような古くからのお后選びは厳しい批判を受けかねない」(同前)
泣く泣く結婚を諦めた王女
メーガン妃はかつて映画プロデューサーのトレヴァー・エンゲルソン氏と結婚していたいわゆる“バツイチ”だが、それもかつての英王室ではタブーとされた。
エリザベス女王の妹であるマーガレット王女(2002年死去)は14歳だった1944年、第一次世界大戦で「空の英雄」と称えられたピーター・タウンゼント大佐が侍従武官に就くと一瞬で恋に落ちた。
「16歳年上の大佐には離婚歴があり、王室、政府、英国国教会からも強く反対されました。大佐はベルギーのイギリス大使館に左遷され、マーガレット王女も当時の首相からは『結婚するなら王位継承権や王族としての収入も剥奪する』と宣言された。彼女は泣く泣く結婚を諦め、後にスノードン卿と結婚しましたが、まもなく離婚。その後も数々の有名人と浮き名を流しました。
時代は変わり、チャールズ皇太子もダイアナ妃と離婚後、カミラ夫人と再婚している。もしマーガレット王女が現代に生きていたら、全く別の人生が待ち受けていたかもしれません」(同前)