そんなおり、中山の「4歳以上2勝クラス」(ダート1200m)に江田照の名が。単勝12番人気の逃げ馬に跨る。当日はこのレースを含めた2鞍の騎乗、満を持しての登場である。短距離のダート戦。きっと逃げ粘ってくれる!
ルーキー騎乗の1番人気馬を外し、2、3番人気と人気薄3頭の3連単5頭ボックスで勝負。結果は……1~3人気の固い決着。期待の馬は逃げも隠れもせず、どっしりとシンガリ追走。見せ場なしの16着だった。こういうこともある。
だが、次こそはという気にさせる。「人気薄が1頭食いこめば」と。3連単はJRAの最優秀営業マンと言われる所以か。
【プロフィール】
須藤靖貴(すどう・やすたか)/1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。
※週刊ポスト2021年4月16・23日号