芸能

竹野内豊&黒木華『イチケイのカラス』には役者を見る醍醐味あり

番組公式HPより

番組公式HPより

 このクールのドラマは各局の意欲作が目白押しの様相だ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が、いち早くスタートしたフジテレビの月9について分析した。

 * * *
 いよいよ月9の新ドラマ『イチケイのカラス』(フジテレビ系月曜午後9時)がスタートしました。何といってもこのドラマには、他に見られない際だった「特徴」があります。それは「民放連ドラで初めて、刑事裁判官が主人公」ということ。これぞ新鮮な見所です。

 過去にも裁判や法廷をテーマにしたドラマはたくさんありました。特に弁護士ものはドラマの定番と言えるほど。『リーガルハイ』で堺雅人さんが演じた超毒舌敏腕弁護士をはじめ、キレモノ弁護士、正義漢あふれる情熱的な弁護士……実にさまざまなキャラクターが登場してきました。

 一方で、その弁護士に対峙する検察官が活躍するドラマも。例えば『HERO』ではキムタク演じる久利生検事が異色の行動派として正義を見つけ出していきました。

 弁護士と検察が丁々発止のやりとりをする法廷。常にそれを見つめながら、しかし一段高い段の上でじっと動かない存在。冷静で中立的で地味--それが裁判官です。

 裁判官は法の番人であり六法全書に照らし合わせて公平な立場から判断を下す人--少なくともこれまではそうでした。しかし、このドラマはその枠組を大胆に覆していくのです。法壇から下りて動き回るのです。

 主人公はシャレ髭を生やしデニムにチェックシャツ。その上に黒い法服を着た、東京地方裁判所第3支部第1刑事部(通称:イチケイ)の裁判官・入間みちお(竹野内豊)。型破りな裁判官である入間は、冤罪を生まないよう自ら現場検証を行ったり、疑問があれば真実とは何か自分の目で検証していく。いわば生身の人間として活き活きと行動し、裁判という「手続き」の向こう側に血の通う人間がいる、という信念をもっている。

 とはいえ連ドラで初めて刑事裁判官が主人公。しかも、人々の生活に身近ではない法律分野の話だけに、その「面白さ」を的確に伝えるには技がいります。法廷内の決まりごとや役割、法的解説を含めて視聴者に伝えつつ、物語の面白さを合点してもらうには表現上の手腕が必須。……と難題に挑むこのドラマですが、第一話を見る限り実にお見事! 演出、脚本、役者の3拍子が揃っています。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン