芸能

米倉涼子、有森也実、裕木奈江… 妖しくも艶やかな「悪女」役の名場面

「悪女」たちの名演を振り返る(写真は小川眞由美/共同通信社)

「悪女」たちの名演を振り返る(写真は小川眞由美/共同通信社)

 綺麗な花には棘がある……妖しい光を放つその演技で見る者を怯えさせ、虜にしてきた「悪女」たち。名作の現場で生まれ今も語り継がれる数々の伝説を振り返ろう。

誘惑する姿に思わず…

 2022年放送のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、将軍・源実朝を殺害して鎌倉幕府の実権を握ろうとした「牧の方(初代執権・北条時政の継室)」役を宮沢りえが演じる。意外なキャスティングが話題だが、大河では歴史上の悪女をさまざまな実力派女優が演じてきた。

 1994年放送の『花の乱』では、室町幕府8代将軍・足利義政の妻で、実質的に幕府を支配した日野富子を三田佳子が演じた。発表会見で三田は「いままでは好感度のあるヒロインばかりでしたが、今回はアクの強い女性。やりがいがある」と語った。

 コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野氏は、こう評する。

「日野富子は金にも男にも執着する『稀代の悪女』。彼女の嫉妬深さが原因で応仁の乱が始まったとまでいわれています。この作品では嫉妬深いというよりは、跡取り問題に翻弄されながらも自らの子を次期将軍に据えるため強気に振る舞う日野富子を三田さんが好演した」

『武田信玄』(1988年)で、中井貴一演じる信玄の正室・三条夫人(紺野美沙子)を守り抜こうと、凄絶なまでの執念を見せる侍女・八重を演じたのは小川眞由美だ。

 信玄の初恋相手を殺し、側室の子供を呪術師に呪い殺させようとする執念深さが話題となった。大河を見ていた幼児が泣き出したという逸話も残る。

「児玉清が演じる飯富虎昌を誘惑するシーンでは、丸い眉を額に描いた美白能面顔でじりじりと迫り、色気というより妖気が感じられた。大河史上ナンバーワンの悪女だと思います」(荻野氏)

政界の黒幕にねっとり迫る

 1982年から計7回にわたってドラマ化された松本清張原作の『黒革の手帖』は、勤め先の銀行から巨額の金を横領した女性銀行員が、そのカネで銀座にクラブを開き、愛と欲望の世界に呑まれていくサスペンスだ。初のドラマ化で主人公・原口元子を演じたのは山本陽子だった。

「元子が惹かれる安島富夫役を田村正和が演じた。元子は冷徹に情に流されないでいようとするのに、やっぱり男に惚れてしまう。でも、結局この男にも裏切られる。別れのシーンが言葉少なで、哀しみを目だけで演じきった」(荻野氏)

 これ以降、女優にとって元子役はいわば“悪女の登竜門”のような位置づけになる。

関連記事

トピックス

グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン