ビジネス

地味顔に転換図ったホンダ「ヴェゼル」は並み居るライバル車に勝てるか

第2世代のトップグレード「PLaY」。FWDのみだがコネクト対応ディスプレイやグラストップなど装備が充実している

第2世代のトップグレード「PLaY」。FWDのみだがコネクト対応ディスプレイやグラストップなど装備が充実している

 4月22日にフルモデルチェンジしたホンダの小型SUV「ヴェゼル」。このクラスのSUVは人気で強力なライバル車種も多いだけに、販売競争はますます熾烈になりそうだ。果たして新型ヴェゼルは並み居る競合モデルに勝てるのか──。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がレポートする。

 * * *
 第2世代へとバトンタッチしたホンダのBセグメント(サブコンパクトクラス)SUV「ヴェゼル」。2013年冬にデビューした第1世代はクーペSUV的なフォルムと室内の広さが好評を博し、SUVカテゴリーの年間販売台数首位を4回獲るなどホンダの国内の普通車販売戦線を支えてきた。

 一方で、ホンダは人気車種をブランドに育てていくのが伝統的に下手で、モデルチェンジで台数を落としてしまうことが少なくない。第2世代がどのようなモデルに仕立てられるのかは、ファンにとって期待と不安が入り混じる関心事であったろう。

オーソドックスなデザインはボルボに近い?

 第2世代の実車を見てみると、クーペルックだった第1世代から大きくコンセプトチェンジした。バックドアの上半分が大きく傾斜したファストバックスタイルという点は第1世代より攻撃的だが、それ以外はきわめてオーソドックスなデザインになった。

フルモデルチェンジされた第2世代ヴェゼル(ホンダ)

フルモデルチェンジされた第2世代ヴェゼル(ホンダ)

ボディ同色のフロントグリル(新型ヴェゼル)

ボディ同色のフロントグリル(新型ヴェゼル)

第2世代ヴェゼルのトップグレード「PLaY」のテールエンド

第2世代ヴェゼルのトップグレード「PLaY」のテールエンド

 ボンネット先端からバックドアの屈曲点までほぼ真一文字の線で結ばれる、SUVとしてきわめてオーソドックスな水平基調。ボディ外板に刻まれるプレスライン(金属の折り曲げ線)やメッキ部品によるデコレーションも激減した。丸型から角型へ、装飾過剰から抑制デザインへの大転換である。

新型ヴェゼルのフロントシート。PLaYのみ、このような2トーンカラーとなる

新型ヴェゼルのフロントシート。PLaYのみ、このような2トーンカラーとなる

シフトノブ。質感は全体的に上がっていた(新型ヴェゼル)

シフトノブ。質感は全体的に上がっていた(新型ヴェゼル)

 興味深かったのはクルマの見え方。マスメディア向けの新商品発表会が行われたのは屋内。そこではサブコンパクトクラスとはいえ全幅1.79mという寸法を実感させるルックスに見えた。

 ところがイベント終了後、ホンダ青山ショールームの前で来るときには飾られていなかった赤いヴェゼルを見た瞬間、「えっ、これ本当にさっき見たのと同じ寸法なの?」と驚いた。そのくらい小さく見える。ボディの面質は非常に豊かなものがあるが、基本的には風景に埋没させる系のデザイン。テイストは全然違うが、志向するところはスウェーデンのボルボに似たものがあると思われた。

後席はだだっ広いと感じるレベル(ホンダ新型ヴェゼル)

後席はだだっ広いと感じるレベル(ホンダ新型ヴェゼル)

後席膝元空間は十分以上に広かった(新型ヴェゼル)

後席膝元空間は十分以上に広かった(新型ヴェゼル)

荷室は非常に広く、ステーションワゴンとして十分に使える(新型ヴェゼル)

荷室は非常に広く、ステーションワゴンとして十分に使える(新型ヴェゼル)

 居住区と荷室の広さは全長4.3m級のSUVとしては第一級。後席足元空間など、クラス屈指であった第1世代よりさらに広いことが座った瞬間に一発でわかるくらいだった。一方で、デザイン的には外装と同様、非常に抑制的に。旧作の意図的なスペシャリティ狙いではなく、オーソドックスきわまりない造形だった。

インパネデザインもオーソドックス(新型ヴェゼル)

インパネデザインもオーソドックス(新型ヴェゼル)

ダッシュボードのデザインは旧型に比べて格段にシックになった

ダッシュボードのデザインは旧型に比べて格段にシックになった

関連記事

トピックス

女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚を発表した(左・Instagramより)
《お腹にそっと手を当てて》ひとり娘の趣里は区役所を訪れ…背中を押す水谷豊・伊藤蘭、育んできた3人家族の「絆」
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
《前科は懲役2年6か月執行猶予5年》「ストーカーだけでなく盗撮も…」「5回オートロックすり抜け」公判でも“相当悪質”と指摘された谷本将志容疑者の“首締め告白事件”の内幕
NEWSポストセブン
硬式野球部監督の退任が発表された広陵高校・中井哲之氏
【広陵野球部・暴力問題で被害者父が告白】中井監督の退任後も「学校から連絡なし」…ほとぼり冷めたら復帰する可能性も 学校側は「警察の捜査に誠実に対応中」と回答
NEWSポストセブン
隆盛する女性用ファンタジーマッサージの配信番組が企画されていたという(左はイメージ、右は東京秘密基地HPより)
グローバル動画配信サービスが「女性用ファンタジーマッサージ店」と進めていた「男性セラピストのオーディション番組」、出演した20代女性が語った“撮影現場”「有名女性タレントがマッサージを受け、男性の施術を評価して…」
NEWSポストセブン
『1億2千万人アンケート タミ様のお告げ』(TBS系)では関東特集が放送される(番組公式HPより)
《「もう“関東”に行ったのか…」の声も》バラエティの「関東特集」は番組打ち切りの“危険なサイン”? 「延命措置に過ぎない」とも言われる企画が作られる理由
NEWSポストセブン
海外SNSで大流行している“ニッキー・チャレンジ”(Instagramより)
【ピンヒールで危険な姿勢に…】海外SNSで大流行“ニッキー・チャレンジ”、生後2週間の赤ちゃんを巻き込んだインフルエンサーの動画に非難殺到
NEWSポストセブン
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン