国際情報

福島に猛クレームの中韓の原発 ケタ違いのトリチウムを垂れ流していた

日本を批判する割には…(写真/EPA=時事)

日本を批判する割には…(写真/EPA=時事)

 またしても中国と韓国が噛みついてきた。福島第一原発の「トリチウムを含む処理水」の海洋放出に、中国外務省は「極めて無責任」、韓国政府は「断固反対する」などと非難する。こうした批判について、「非常に悪質なもの」とするのは、原子炉工学が専門の奈良林直・東京工業大学特任教授だ。

「トリチウムは自然界に膨大な量、存在する放射性物質です。今回の海洋放出にあたって、処理水はWHOが定める飲料水基準の7分の1(1リットルあたり1500ベクレル未満)まで希釈され、IAEAの目も入れて監視すると決まっています。中韓の批判は、日本を貶める政治的な意図を持った圧力としか考えられません」

 なにしろ、中国や韓国が稼働させる原発も、トリチウム水を排出しているのだ。

「日本の原発が軽水炉であるのに対し、韓国の一部の原発はトリチウムの排出が多い重水炉です。日本海に面する韓国の月城原発は4基の重水炉を稼働させ、福島第一原発に貯留される量の何倍ものトリチウムを海に流してきました」(同前)

 在韓日本大使館は、韓国の原発が2018年、海水や大気に年間約360兆ベクレルのトリチウムを排出したと説明する。福島第一原発に貯蓄されるトリチウムは約860兆ベクレル。それを年間22兆ベクレル以下の量で放出していく計画だから、“韓国からの排出のほうがケタ違いに多い”のである。また、経産省のまとめた資料によれば、中国の大亜湾原発は、2002年に約42兆ベクレルを排出した。

「韓国政府の設置した専門家を交えた部会の報告書でも、海洋放出による影響はないとしているのに、文在寅大統領は不安を煽ろうとしている。月城原発では誤って放射性物質が漏れた問題も報じられた。文政権は福島原発の放出を国際海洋法裁判所に提訴すると言っていますが、提訴したら逆に“あなたの国はちゃんとやっていますか?”と言われて恥をかくだけでしょう」(同前)

 いつになったらフェアな議論ができるのか。

※週刊ポスト2021年5月7・14日号

韓国の月城原発(写真/共同通信社)

韓国の月城原発(写真/共同通信社)

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン