芸能

古今亭右朝 没後20年ますます評価が高まる“昭和最後の真打”

52歳の若さで亡くなった古今亭右朝

52歳の若さで亡くなった古今亭右朝(イラスト/三遊亭兼好)

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接してきた。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、2001年に52歳の若さで亡くなった古今亭右朝の高座音源についてお届けする。

 * * *
 立川談志をして「あいつは天下を取る」と言わしめた実力者ながら、2001年に肺ガンのため52歳の若さで亡くなった古今亭右朝。「右朝が生きていれば、その後の東京落語界の勢力図はまったく違っていただろう」という声はいまだに強い。

 その右朝の在りし日の高座音源を発掘してCD化し続けているのがキントトレコード。第一弾の「古今亭右朝1」(2枚組)は没後10年の2011年、命日にあたる4月29日に発売された。これは同レーベルからのリリース第一弾で、ある意味「右朝の音源を後世に残すために生まれたレーベル」と言ってもいいだろう。

「1」に収められたのは『小言幸兵衛』『羽織の遊び』『花見の仇討』『干物箱』の4席で、すべて二ツ目の“志ん八”時代に「にっかん飛切落語会」で演じたもの。その見事な語り口はとても二ツ目とは思えない堂々たるもので、なるほどこれは天下を取るべき逸材だと思わせる。

 2013年10月に発売された「古今亭右朝2」(2枚組)のテーマは“真打昇進”。抜きん出た実力を持つ志ん八だったが、1987年5月、落語協会の真打昇進試験でまさかの不合格。この判定に寄席の席亭たちから抗議があり、協会はすぐに追試で昇進を決定。“昭和最後の真打”古今亭右朝の披露興行は1988年5月1日から6月10日まで一枚看板で行なわれ、師匠の志ん朝も40日間欠かさず参加した。「2」にはその披露目初日の口上の模様と右朝が演じた『妾馬』の他、TBSラジオで1980年代に放送された『粗忽の釘』『紙屑屋』『質屋庫』『権助魚』が収められている。

 十七回忌の2017年4月29日に発売された「古今亭右朝3」(2枚組)には1990年から1995年にかけてTBSラジオで放送された音源から『花見酒』『転宅』『たいこ腹』『明烏』『廐火事』『宿屋の富』を収録。真打として脂が乗ってきた時期の高座が楽しめる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン