国内

反政権も政権擁護もある陰謀論 共通するのは「マスコミへの不信感」

陰謀論が現れる背景は?(写真はイメージ)

陰謀論が現れる背景は?(写真はイメージ)

 今、日本ではかつてないほど「陰謀論」が流行している。ネットで語られている陰謀論には、政府を黒幕と位置づけるようなものも多い。政権の不祥事から世間の目をそらすために、芸能ニュースになる事件を政権が仕掛けている──という陰謀論は、しょっちゅう出てくる。

 2019年11月に女優の沢尻エリカが麻薬取締法違反容疑で逮捕されたのは、国会で安倍政権が「桜を見る会」を巡る疑惑で野党から激しく追及されている頃だった。

 この件についてタレントのラサール石井は、ツイッターで「まただよ。政府が問題を起こし、マスコミがネタにし始めると芸能人が逮捕される。これもう冗談じゃなく、次期逮捕予定者リストがあって、誰かがゴーサイン出してるでしょ」とつぶやき、鳩山由紀夫元首相も、「みなさんが指摘するように、政府がスキャンダルを犯したとき、それ以上に国民が関心を示すスキャンダルで政府のスキャンダルを覆い隠すのが目的である」とツイートして話題になった。

「日本の縦割り行政で、領収書や資料の破棄と芸能人の逮捕のタイミングを合わせるのは至難の業です。行政の現場を理解していれば分かるはずですが……」(陰謀論に詳しい評論家の真鍋厚氏)

 最近でも、「星野源と新垣結衣の結婚発表は、自衛隊のワクチン接種の予約システムに欠陥があったことをごまかすため」という言説が出ている。

 日本ではなく海外が黒幕というパターンもある。

 東京五輪組織委員会の森喜朗会長が女性差別とも受け取れる発言の責任をとって会長を辞任した際には、「中国が新疆ウイグル問題で出てきた北京五輪ボイコット論を打ち消すため、森氏の発言を拡散し、騒ぎを起こして注目を逸らそうとした」という説がまことしやかに伝えられた。

 このように陰謀論には反政権もあれば政権擁護のものもあるが、両者に共通するのはマスコミ報道への不信感だと、ノンフィクション作家の田中聡氏(著書に『陰謀論の正体!』は言う。

「たとえば、政府はコロナ後遺症やワクチンの副反応について大々的に公表しないし、テレビ、新聞もあまり取り上げません。そうなると、『マスコミ報道では何が本当なのかわからない』という不信感が高まり、ネットで調べたりすると、マスコミとは違った情報が溢れていて、情報の落差に驚く。すると不信感がますます募り、陰謀論の“真実”も受け入れやすくなります」

※週刊ポスト2021年6月11日号

森喜朗氏(時事通信フォト)

森喜朗氏(時事通信フォト)

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
《出所後の“激痩せ姿”を目撃》芸能活動再開の俳優・新井浩文、仮出所後に明かした“復帰への覚悟”「ウチも性格上、ぱぁーっと言いたいタイプなんですけど」
NEWSポストセブン
”ネグレクト疑い”で逮捕された若い夫婦の裏になにが──
《2児ママと“首タトゥーの男”が育児放棄疑い》「こんなにタトゥーなんてなかった」キャバ嬢時代の元同僚が明かす北島エリカ容疑者の“意外な人物像”「男の影響なのかな…」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン