降圧剤の副作用で歯茎に影響
罹患者数は4000万人。70代以上の女性の過半数がのんでいるといわれる降圧剤。その種類はさまざまで、大きく分けると「ARB」「ACE阻害薬」「カルシウム拮抗薬」「利尿薬」「β遮断薬」の5つに分類される。ナビタスクリニック川崎の内科医・谷本哲也さんはこう解説する。
「なかでも一般的なのは血管細胞にカルシウムが流入するのを防ぐことで血管の収縮を抑制する『カルシウム拮抗剤』です。昔から定評があり安価で取り入れやすい一方、頭痛や動悸、便秘などの副作用があり、まれに歯茎が腫れることもある」(谷本さん)
心当たりがあるならば、ほかの種類に替えるのも手だろう。
「加えて降圧剤全般に言えるのは服用後、一時的に血圧が下がりすぎて、ふらつきが起こる場合があること。特に高齢の場合は同じ薬をのんでいても、代謝が弱ったり体力が落ちたり、暑い日に脱水症になったりすることで、ある日突然ふらつきが起こることも。それにより、転倒して頭を打ったり骨折したりすると、そのまま寝たきりになってしまう可能性もあるため、充分に注意してほしい」(谷本さん)
また、降圧剤は、必ずしも5種類のうち1種類のみが処方されるわけではないことも知っておきたい。
「複数の薬を併用したり、1つに混ぜた『配合剤』が処方されることも多い。配合剤は1錠のむだけで高い効果が得られるのがメリットですが、副作用が出たときに、どの成分が原因か特定が難しく、問題が起きたとき調整がしづらい。そのため最初から配合剤を使わず、単剤を使って様子を見ながら調整するのが一般的。本当に配合剤を使うべきかどうかの見極めは、しっかりするべきです」(谷本さん)