芸能

若者はなぜ離れた? テレビの“失われた10年”を招いた「世帯視聴率」の呪縛

この10年で急激に「若者のテレビ離れ」が進んだ背景に何がある?(Getty Images)

この10年で急激に「若者のテレビ離れ」が進んだ背景に何がある?(Getty Images)

 衝撃のデータはなぜ生まれたのか──。5月20日、NHK放送文化研究所が『国民生活時間調査』を発表した。5年ごとに行なわれる同アンケートでは、調査日にテレビを15分以上視聴した場合のみ「見た」として集計。平日は10歳から15歳までは56%、16歳から19歳までは47%、20代は51%と約半数に留まった。5年前にはそれぞれ78%、71%、69%だったため、いずれも20%前後の大幅な下落となった。10代、20代のおよそ2人に1人はテレビを見ておらず、日常的なメディアとは言いづらくなったのだ。テレビ局関係者が肩を落とす。

「良くない数字は予想していましたが、半分も見てないと聞いてショックですね。ここ数年で、YouTubeなどの動画サイトが一気に普及しましたし、Amazon Primeなどで話題の映画もいくらでも見られる時代になっている。いろんな要因が重なったのだとは思います。ただ、この10年ほど、テレビ業界は古い慣習のまま進み、若者の視聴者を取り込む努力をしてこなかった。そのツケが現れたのかもしれません」(以下同)

 過去の『国民生活時間調査』によれば、1995年には10代男性の90%、10代女性の91%、20代男性の81%、20代女性の90%が平日1日の中で15分以上テレビを見ていた。この数字は微減微増を繰り返しながら、2010年の時点で10代男性82%、10代女性83%、20代男性78%、20代女性78%を記録していた。調査対象はやや異なるものの、この10年で約30%もの“若者のテレビ離れ”が進んだと考えられる。

「大きな原因は、“世帯視聴率”という時代に合っていない基準からなかなか抜け出せなかったからだと思います。この10年ほど、全世代を網羅する世帯視聴率は低いが、10代や20代に図抜けて人気の高い番組はありました。例えば、2014年放送の宮藤官九郎脚本、当時関ジャニ∞の錦戸亮、満島ひかり出演の学園ドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)はティーン(13~19歳)の個人視聴率は20%近くある回もあった。しかし、年齢層が上がるにつれ、個人視聴率は下がっていき、世帯視聴率は1桁を連発。TBSの『日曜劇場』史上で最も低い全話平均の世帯視聴率になってしまいました」

 クドカンはパーソナリティを務めていた『宮藤官九郎のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送)で、「俺の感覚が皆んなからズレてるのか。俺がズレてるんだなと思うと、不安になっちゃって。俺が面白いって思うってことはダメなんじゃないかって……」と打ち明けるほど悩んでいた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン
ネットテレビ局「ABEMA」のアナウンサー・瀧山あかね(Instagramより)
〈よく見るとなにか見える…〉〈最高の丸み〉ABEMAアナ・瀧山あかねの”ぴったりニット”に絶賛の声 本人が明かす美ボディ秘訣は「2025年トレンド料理」
NEWSポストセブン
千葉大学看護学部創立50周年の式典に出席された愛子さま(2025年12月14日、撮影/JMPA)
《雅子さまの定番カラーをチョイス》愛子さま、“主役”に寄り添うネイビーとホワイトのバイカラーコーデで式典に出席 ブレードの装飾で立体感も
NEWSポストセブン
審査員として厳しく丁寧な講評をしていた粗品(THE W公式Xより)
《「脳みそが足りてへん」と酷評も》粗品、女性芸人たちへの辛口審査に賛否 臨床心理士が注目した番組冒頭での発言「女やから…」
NEWSポストセブン
12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
会社の事務所内で女性を刺したとして中国籍のリュウ・カ容疑者が逮捕された(右・千葉県警察HPより)
《いすみ市・同僚女性を社内で刺殺》中国籍のリュウ・カ容疑者が起こしていた“近隣刃物トラブル”「ナイフを手に私を見下ろして…」「窓のアルミシート、不気味だよね」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情