「同ドラマはギャラクシー賞も受賞していますし、上の世代に受けなかっただけで、作品の質は高かった。しかし、基準が“世帯”だったため、低視聴率のレッテルを貼られた。今年春から、TBSは視聴ターゲットを4歳から49歳に定め、『新ファミリーコア』と呼んでいます。『ごめんね青春!』は今なら局内で高く褒め称えられるドラマです。同じ2014年、上戸彩や吉瀬美智子、斎藤工出演の『昼顔』(フジテレビ系)という不倫ドラマが流行りましたが、こちらは人口が多くて世帯視聴率アップの鍵を握る40代や50代にハマったからでしょう」

遅すぎた“世帯”から“個人”への転換

 10代向けでは“世帯視聴率”を取れないため、テレビ局は40代や50代に受ける番組作りに走った。これが、さらなる若者のテレビ離れを生んだのではないか。

「バラエティ番組で言えば、2011年に始まった『爆報!THE フライデー』(TBS系)が象徴的でしょう。金曜夜7時台で『あの人は今』路線で高視聴率を稼ぎ、不毛地帯と呼ばれたTBSの金曜を救いました。しかし、昭和に活躍したタレントを毎週のように特集し、明らかに40代以上を対象にして数字を取っていた。“世帯視聴率”を基準に考えたら、この戦略は正解なんです。ただ、10代、20代の個人視聴率は低かった」

 TBSの『爆報』が高視聴率を記録していた2010年代の金曜夜7時台、少子高齢化の影響でテレビ朝日の『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』の世帯視聴率は低下。相変わらず男女4~12歳(C層)の数字は高かったが、2019年秋から土曜夕方5時台に移った。

「世帯視聴率を取りたいなら、ゴールンデンタイムはM3(男性50歳以上)、F3(女性50歳以上)を狙う編成になる。テレ朝はアニメの代わりに持ってきた石原良純、長嶋一茂、高嶋ちさ子の『ザワつく!金曜日』、日曜夜8時台の『ポツンと一軒家』で高い世帯視聴率を上げているが、若年層は掴まえられていない。いまや世帯視聴率を目標に掲げている局はありません。そういう意味では、テレ朝は時代に逆行しているのかもしれません」

 2020年春から、テレビ局の指標は“世帯”から“個人”視聴率に変わった。局によって呼び名こそ違うものの、日本テレビ、TBS、フジテレビは13歳から49歳の視聴者をコアターゲットにすると明確に謳っている。

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