コンビニを席巻したA5判エロ本
1980年代に入り、全国にコンビニが出店され始めると、A5判雑誌の時代が到来する。アイドル雑誌『ザ・シュガー』と『投稿写真』がサン出版の主力雑誌になる。
『シュガー』は学研の『BOMB』に追随したもので、創刊号に原田知世を起用しアイドル雑誌の地位を築いた。1984年創刊の『投稿写真』は、『アクション・カメラ術』(KKベストセラーズ)がベストセラーとなり「カメラ小僧」の流行を受けて登場。今では御法度であろうアイドルパンチラやハプニング写真を掲載して大ヒットした。
当時の常連投稿者はまるでラジオのはがき職人のように認知されていた。また同誌にはリリー・フランキーや佐々木教、中森明夫などが連載を持っていた。創刊号は12万部、最盛期は35万部を記録したという。サン出版のA5判雑誌は、大判の『デラべっぴん』(英知出版)などとともに当時のコンビニを席巻していた。
1990年代後半からはサン出版のもう一つの顔となる「素人ヌード」雑誌の時代を迎える。『Namper』(これも某スポーツ雑誌から拝名)や『ストリート・シュガー』では、日本全国津々浦々の素人女性のヌードを掲載。編集部員が体を張って撮影し、出会いからの一部始終を掲載することで好評を得た。
この時期はエロ本以外にもレディースコミック、つり雑誌、競馬雑誌、果ては辰吉丈一郎人気にあやかった『BOXINGジョー』などがあり、その節操のなさは健在だった。2006年には本社ビルを新築した。
しかし、2010年代に入るとサン出版は雑誌を大幅に減らす縮小の時代を迎えた。それでも、宮坂氏は自ら編集長となり2014年に壮年向けのエロ雑誌『プレイバック55』を創刊する。この時宮坂氏は86歳であったが、記事タイトルからレイアウトまで指示を出していたという。そして4年後、宮坂氏は91歳で他界する。
宮坂氏は80歳を過ぎても現場をチェックし、口も出していたという。社史に寄稿したサン出版OB・青山栄氏の証言によると、「なんでエロ本を作っているんですか?」と問うと、宮坂氏は「あのね、不良がタバコをみんなに喫わせようとするだろう。そんな気分なんだよ」と語ったという。