遠藤和さんはステージIVの大腸がん診断を受けた後に挙式した(2019年12月。写真/本人提供)
「ママだったら違うんだろうな」
闘病生活が続く中、コロナ禍という暗雲が立ちはだかる。この1年で、面会を制限する病院が一気に増えた。和さんが直近まで入院していた都内の病院も同様で、夫とも、愛する娘とも一切会うことのできないつらい日々が続いた。
「入院生活中はスマホのビデオ通話でやりとりしていました」と明かすのは、和さんの妹の遥さん(22才)。彼女は将一さんが仕事に出ている間、娘の面倒を見ている。
「のんたん(和さん)はこの前、離乳食を食べた娘に『えらいね~、天才だね』とビデオ越しに声をかけていました。のんたんは、子育ての“司令塔”なんです。入院中もいろいろ調べて、『あの知育玩具を買ってあげたい』、『あの遊びをさせてあげて』って、娘のことをずっと考えている。私はその指示に従っている感じです」(遥さん)
1才を間近にした娘は、日に日に活発になっている。人の髪の毛を引っ張ったり、家にあるものを手当たり次第集めて一気に口に入れようとしたり、とにかく元気だそうだ。
「のんたんに教わりながらなんとか面倒は見られていますが、すごく泣きじゃくって、どうしても止まらないときは、『ママを探してるのかな、ママだったら違うんだろうな』といつも思います」(遥さん)
念願の、娘との再会。和さんは、すぐに娘の成長の証を見つけたという。
「いつの間にか、娘に歯が生え始めてたんです。妹からは、『今日の娘は昼寝もしないし声も大きい。ひさびさにママと会えたから、うれしかったんだと思うよ』と言われました。そう聞くと、やっぱりうれしいですね。
私はこの1年、入院続きでほぼ育児らしいことができていないから……いまは体力が落ちていて難しいですけど、元気になってバリバリと育児をしたいなという思いはずっとあります」(和さん)