上司はAさんの前日までの体調を考慮して、普段の担当とは異なる業務にシフトを変更した。
だが、勤務中にAさんの奇妙な行動が目撃され、病院内は騒然となった。Aさんがカートに手をかけて覗く現場を、職員が目撃する。
〈職員:何しているんですか?
被接種者(編集部注・Aさんのこと):薬
職員:なんのですか
被接種者:カリウム
職員:おかしい、質問の答えになっていない、変だと思った。
「薬はここじゃないです」と言うと、(中略)歩いて行った。危険を感じる。(中略)しばらくして上司に報告しようと部屋を出たら「キャー」という声が聞こえた〉
〈手にKCLを持っており、赤の人工心肺回路廃棄袋があった。「何をしているんですか?」と声をかけたところ、臀部に膝で蹴られたが、痛みはなく、強く当たった感じではなかった。相手が2m位離れたところ、様子をみていた看護師が「不審者だ!」と大声を上げた。逃げようと転倒したところをスタッフが抑え込んだ。怖くて泣いた〉
Aさんは職員や医師らに押さえ込まれた。
〈顔を確認するが、表情なく、ボーッとして、ブツブツ言っており聞き取れない。表情が違うため、1回見ても本人とはわからないくらい表情が違っていた〉
〈問いかけに対しても空返事。小声で「ハイ、ハイ」理解しているかは判断できない。時々落ち着きなく動き出す素振りあり。
「一人になるのが怖い」「なんでこんなことになっているんですか?」
本人より、被接種者の上司の付き添いで良いとのことで付き添う〉
しかしAさんは落ち着きを取り戻さなかった。
〈話しかけるが全て「ハイ」と返答。視線を合わせようとはしない。ぼんやりして対話はとれない。
言いたくない、ダメだ、ダメだ。何、やべえ、最悪、最高です。楽しい、違う、、。わからない。返答は答えにならず、ブツブツという〉
Aさんは精神科医の診察を受け、「妄想状態」「意識障害」と診断された。この時点で発熱があったためPCR検査も行なわれたが、結果は「陰性」。
同病院には当時、入院できる精神科の病床がなかったため、迎えに来た両親が車で他の病院の精神科に搬送中、Aさんは高速道路で家族の制止を振り切って車から飛び降り、後続車に轢かれ、その夜、死亡した。
本誌・週刊ポスト記者が自宅を訪ねると、Aさんの祖母は「運が悪かった、そう思っています。勉強はよくしていたし、(病院勤務については)自分が選んだ道でしたからね」と言葉少なに語ってくれた。
報告によると、死因は〈精神異常、自殺〉。専門家の評価は、〈ワクチン接種との因果関係も不明である〉とされている。Aさんの勤務先の病院に事実関係などについて聞いたが、「お答えできません」(事務長)と答えた。
※週刊ポスト2021年6月18・25日号