(写真/Getty Images)

女性は要注意(写真/Getty Images)

高血圧の日本人女性は特に注意

 座りすぎ生活と並んで腎臓病のリスクを上げるのは、高血圧や糖尿病、肥満などの疾患だ。

「腎臓は細かい血管が塊になって成り立っている臓器で、糖尿病や高血圧などの疾患によって細い血管の硬化が進み、機能も落ちてしまう。

 このため、慢性腎臓病の患者が心筋梗塞や脳卒中を併発して、そのまま亡くなるケースも非常に多いのです」(山縣さん)

 思わず、巣ごもり生活でテレビの前に寝そべる夫のお腹まわりを確認してしまう人も多いだろう。しかし、まず気をつけるべきはあなた自身かもしれない。

 生活習慣病の専門クリニック・AGE牧田クリニックの院長で『医者が教える最強の解毒術』の著書がある牧田善二さんは「特に高血圧の日本人女性は気をつけるべき」と警鐘を鳴らす。

「2016年に中国の北京大学が過去に世界中で行われた血圧に関する7つの研究を分析し、発表した論文によれば、収縮期の血圧が120〜139mmHg、拡張期の血圧が80〜89mmHgの高値血圧レベルの人の慢性腎臓病の発症リスクは、正常値の人に比べて1.28倍高くなることがわかりました。

 しかもこの傾向は、東アジア人女性に特に強くみられた。つまり日本人女性は、軽度であっても高血圧の人の腎臓病リスクが上がると考えられます」(牧田さん)

 また、生理痛や慢性頭痛の際に服用する鎮痛剤も腎機能の低下を招く要因になる。

 2012年に厚労省が発表した『厚生労働科学研究』によると、「薬剤性腎障害」の原因となる割合は、鎮痛剤が最も高く、強力な薬であるはずの抗がん剤や抗菌剤をしのぐ数値だった。

 毎日を快適に過ごすための痛み止めをのんでコロナ対策の巣ごもり生活をする──そんな「普通の日常」が腎機能低下のリスクをはらんでいるのだとしたら、これほど恐ろしいことはない。

コロナ重症化リスクは6倍に

「このたび、思いもよらぬ腎臓機能障害の発見により、急遽入院せざるをえない状況となり、プロの俳優として恥ずかしい限りです」

 俳優の佐野史郎(66才)が連続ドラマの降板を発表したのは今年の5月。佐野に腎機能低下の自覚症状はまったくなく、発見に至ったきっかけは発熱により新型コロナウイルスの罹患を疑い、健診を受けたことだった。PCR検査は陰性だったものの腎臓機能障害があると判明したのだ。

「腎臓病が厄介なのは、初期の段階では自覚症状がほとんどないことです。それゆえ腎臓は、肝臓と同様に“沈黙の臓器”と呼ばれます。

 病状が進行し、腎臓の機能が正常な状態の3分の1以上低下した『腎不全』になると、食欲不振や吐き気、手足や顔のむくみ、血圧の上昇、夜間の排尿の回数の増加といった症状が表れることがあります。

 さらに進行すると貧血や疲労感、息切れなども起こる。しかしこの段階で気がついても、すでに透析治療が必要な状態になっていることも少なくありません」(山縣さん)

 腎不全の状態になれば根治は難しい。さらに進行して腎機能が通常の10%未満まで落ちた状態の「末期腎不全」になると、自身の力で体内の毒素を充分に排泄できなくなり、透析療法や腎臓移植が必要になる。

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