腎臓病リスクを下げる行動とは?

腎臓病リスクを下げる行動とは?

 透析治療には、人工の膜で作られた人工腎臓に血液を通して再び体内に戻す「血液透析」と、自分のお腹の中に管を通して透析液を入れ、腹膜を介して老廃物を透析液に移動させる「腹膜透析」がある。

 前者の場合、1回約4時間の治療を週に3回通院して受けることが必要だ。後者なら通院は月1~2回ですむものの、透析液の交換を1日に4回行わなければならない。いずれも、生活に大きな支障をきたすことになる。

 透析の医療費は年間500万円程度かかり、大半は公費で賄われるが、個人での負担も大きく、自己負担額の平均は、月1万〜2万円にものぼる。

 生活への制限に加え、恐ろしいのは腎機能の低下がほかの病気も引き起こす可能性があること。特に懸念されるのは激しい関節の痛みを伴う「痛風」だ。痛風・リウマチを専門とし、透析治療を行う両国東口クリニック理事長の大山博司さんが解説する。

「痛風の原因となる尿酸の7割は腎臓から排出されます。つまり、腎臓の働きが悪く排泄機能が低下すれば、尿酸が体内に停滞するようになり、尿酸値が上がる。その結果、痛風になるリスクが上昇するのです」

 尿酸は運動したり臓器を動かしたりするためのエネルギーであるプリン体が分解されてできる物質で、血液中の濃度が上昇すると、関節にたまって結晶化する。それを白血球が処理する際に炎症を起こし、痛みが生じる。

「痛風患者は年々増加していて、2019年には男女合わせて125万人。男性が圧倒的に多いものの、女性も安心はできません。もともと女性は尿酸値が男性より低いため痛風は起こりにくいのですが、尿酸値が上昇した場合のリスクは男性より高いとされています。

 加えて、ダイエットやむくみの解消を目的として利尿剤をのんでいる人がいるのも気がかりです。利尿剤の多用で尿酸値が上がることもあるため、心臓や血圧の病気でない限り、利尿剤をのみ続けるのは危険です」(大山さん)

 牧田さんが懸念するのは新型コロナの重症化リスクだ。

「日本腎臓学会の発表によれば、慢性腎臓病で透析を行う人の新型コロナウイルス感染による死亡率は一般の人より6倍も高いと報告されています。これは腎機能の低下に伴い、免疫力も落ちていることなどが理由に挙げられます」

 山縣さんも声を揃える。

「コロナは気管支や肺だけでなく、腎臓にも影響を及ぼすことが知られています。肺炎が起こると血液中の酸素濃度が下がるだけでなく、血圧が低下して腎臓への血流が減り、腎機能が急速に低下する『急性腎障害』が起こりやすい。

 コロナは血管の内皮細胞に炎症を起こすため、血管が多く集まっている腎臓がダメージを受けやすいことや、腎臓内部の尿をつくる『尿細管』に感染することもわかってきました」

塩分とタンパク質に注意

 知らないうちに忍び寄る腎臓病。その魔の手を振り払うためにはどうすべきなのか。山縣さんはとにかく健診を受けることを強く提案する。

「職場や各自治体が住民に対し行っている一般的な健康診断でも、腎機能をチェックすることができます。注目するのは、血液検査による『血清クレアチニン値』と尿検査による『尿たんぱく』です」(山縣さん)

 クレアチニンは筋肉を動かしてエネルギーを使ったときに発生するもので、血液中のクレアチニンは腎臓で濾過され、尿として排泄される。血液中のクレアチニン値が高いということは、それだけ腎臓の働きが悪くなっていることを示している。

「健診ではクレアチニン値をもとに、腎臓機能を表す値である『推算糸球体濾過量(eGFR)』が算出されます。健康な腎臓は1分間に90mL以上の血液を濾過しているので、eGFRが90以上なら正常。60を割ったら危険信号です。

 尿たんぱく検査は、尿の中に基準値以上のたんぱくが含まれているか否かを判断する検査です。1度の検査では正しい判定が出ないこともあるため、異常があれば、3か月後に再検査することを推奨します」(山縣さん)

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