「安倍政権を継承し前に進めることが使命」と跡を継いだ菅義偉・首相も無責任な発言を続けてきた。「人類がコロナに打ち勝った証」と安倍氏の大風呂敷発言を踏襲し、国民の間に中止論が高まると「開催に関する最終決定権はIOCにある」と露骨に責任を転嫁。そのうえ日米首脳会談やサミットでは「世界の団結の象徴として五輪を開催する」と一存で表明した。
次の夏季五輪開催国であるフランスの有力紙ル・モンドは、東京五輪の無観客開催が決まると日本の国民の間に依然として開催反対の声が強いことを報じ、〈東京五輪開催は日本列島を分断している〉と書いた。
「世界の団結」どころか、菅首相は五輪開催で国民の分断を招いたという痛烈な皮肉である。
※週刊ポスト2021年7月30日・8月6日号