日本の高校生は「練習やりすぎ」
身長は、日本ハム入団時にすでに193cmあった。
「体のフレームは、お父さん、お母さんからの授かりものです。アメリカでは『ギフテッド』という言葉を使いますが、文字通りの“贈り物”。今までの日本の育成を見ると、高身長の選手を育てるノウハウがなかったと感じます。
ひとつの例を挙げれば、高校野球で過度な走り込みをさせて、ヒザを壊してしまう。まだ体ができていない選手にそんなことをさせたら、壊れるのは当たり前。そもそも、野球に必要なのは一瞬で力を発揮する体の使い方であって、持久系はほどほどでいい。
よく言っているんですけど、『メジャーリーガーが、日本の強豪高校の冬トレに参加したら、1週間でぶっ壊れる』と。大谷選手は、体作りをしっかりと考えてくれる花巻東で育ったことが、今の活躍につながっているはずです」
花巻東の佐々木洋監督は、大谷選手の身長がまだ伸びていることを考慮して、過度なトレーニングをさせなかった。全身の柔軟性やバランスを整えることに時間を注いだ。
根鈴氏自身は、小学6年時に170cm・80kgと堂々たる体格を誇っていたという。しかし、典型的な早熟タイプで中学2年時には身長がストップ。プロレスが好きで、強く大きな体に憧れを抱いていたこともあり、ジムでウエイトトレーニングにのめりこんだ。ボディビルダーが愛読する専門誌を読み漁り、プロテインの重要性も知った。
しかし、当時の高校野球は長時間練習が当たり前で、走る量も多い。せっかく作った筋肉が、目に見えて削られていく。「練習の合間にプロテインを飲ませてほしい」と監督に訴えたが、受け入れてもらえなかった。今は練習中の補食が当たり前の時代になった。それでも、「体のことを考えたら、日本の高校生は練習をやりすぎ」という想いがある。