素材はすべて国産のもので、白いジャケットには、伝統柄の「工字繋ぎ」を陰影でプリントしている。その一方で、ジャケットの前を留めるメタルのボタンには前回の東京大会の公式服装で採用されたデザインを踏襲し、裏に「TOKYO 2020」と刻印した。下町の職人に依頼し、50年後も色あせない特殊なメッキ加工が施されているという。
公式服装は当然ながら一般販売されず、選ばれし日本代表選手団しか着ることの許されない誇り高き洋服だ。だからこそ、それを仕立てる人間もまた誇りを抱いて仕事にあたるのである。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)