スポーツ

貴源治の解雇後も相撲協会に残る「貴派の残党」への締め付け

大麻発覚で解雇された貴源治(時事通信フォト)

大麻発覚で懲戒解雇された貴源治(時事通信フォト)

 7月30日、日本相撲協会は臨時理事会を開催し、7月場所中の大麻の使用が判明した十両・貴源治(常盤山部屋)に懲戒解雇の処分を下した。賞罰規定で最も重い処分となったが、大麻所持で逮捕された若ノ鵬(2008年8月)、抜き打ち検査で陽性反応が出た露鵬と白露山(同9月)、大麻所持で逮捕された若麒麟(2009年1月)はいずれも懲戒解雇処分となっており、コンプライアンス委員会も懲戒解雇処分が相当と答申していた。前例に準じたかたちの決着となったわけだが、大相撲の世界に残る関係者たちにも、茨の道が待っている。

 理事会では監督責任が問われた師匠の常盤山親方(元小結・隆三杉)に対して、「委員」から「年寄」への2階級降格の懲戒処分が決まった。

「貴源治への処分は妥当でしょうが、常盤山親方には気の毒な2階級降格です。2018年12月には、部屋に所属する貴ノ岩が付け人への暴行問題で引退し、親方もけん責処分を受けた。翌年9月には貴ノ富士(貴源治の双子の兄)が、やはり付け人への暴行・差別的発言で引退に追い込まれ、貴源治も弟弟子へのイジメをしていたことが明らかになった。この時も報酬減額の処分を受けています。そこへさらに今回の降格処分。問題を起こしたのはいずれも常盤山親方が新弟子から育てた力士ではなく、貴乃花部屋から移籍してきた力士ですからね」(相撲担当記者)

 今回の委員から年寄への2階級降格とはどのような処分なのか。相撲協会の階級には基本的に「理事」「副理事」「役員待遇委員」「委員」「主任」「年寄」があり、それとは別に引退した元横綱、元大関の期間限定の階級である「委員待遇年寄」が「委員」の下に、定年後再雇用の親方の階級である「参与」が「年寄」の下に位置づけられる。役職ごとに給与、ボーナス、手当などが変わってくる。

「2階級降格は時折見られる処分で、今年1月場所中に風俗店などに通っていた前・時津風親方(元前頭・時津海)は『委員』から『年寄』に2階級降格となっている(その後、元・時津海は退職)。貴乃花親方は貴ノ岩への暴行事件を巡って協会の調査に非協力的で報告を怠ったなどとして、2018年1月に理事解任処分を受けて2階級下の『役員待遇委員』に降格となった。直後の2月の理事選の落選したことで慣例により『委員』に降格し、さらに翌3月に貴公俊(当時、後に貴ノ富士に改名)の暴力事件が起きてもう一度2階級降格処分を受け、『委員』から『年寄』になっている。わずか3か月のうちに5階級降格したわけだが、こうした処分の影響は大きい」(協会関係者)

「理事」の年収が約2500万円に対し、「年寄」は約1200万円といわれており、貴乃花親方のケースでは3か月で収入が半分以下に落ちたことになる。

「それ以上に大きいのが協会内での発言力の低下です。『年寄』は引退直後の親方や借株の親方の階級で、序列でいえば引退直後の横綱や大関が位置づけられる『委員待遇年寄』より下となる。貴乃花親方のケースでいえば、親方になったばかりの頃よりも下の階級に落とされたことになり、協会からの“雑巾がけから出直せ”というメッセージだった。この屈辱的な仕打ちが貴乃花親方の退職理由のひとつだったされる」(前出・相撲担当記者)

 常盤山親方も2階級降格で年収が約1500万円から1200万円程度に減ることになるとみられるが、前述した通り、その“原因”となった不祥事は貴乃花部屋から移籍してきた力士によるものばかりだ。それでも、これからの道のりは険しいものになるという。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン