もうひとりは大阪・岬町の80代男性。認知機能が低下した男性は5月と6月に2回接種してから「接種券をなくした」と再発行を申し込み、6月と7月に接種した。2回目と3回目の間が2日間だったというが、「4回接種した後も変わらず元気だと聞いている」(岬町の担当者)という。
4回打った2人には重篤な副反応は見られなかったが、日本医科大学特任教授の北村義浩氏は慎重だ。
「接種回数が増えればファイザーの利益にはなるだろうが、抗体価が下がるたびにワクチンを打てばイタチごっこになるだけ。抗体価が倍になれば発症予防効果も倍になるという単純なものではないので、効果や副反応がどういったものになるかを注視しなくてはならない」
久住医師はブースト効果を認めつつ、「2回で十分では」と指摘する。
「mRNAワクチンは2回接種でかなり高い免疫を獲得できます。最も重要な課題である重症化予防のためには、効果が判然としていない3回接種よりも、より多くの人が2回接種を完了できるようにしていくべきです」
その一方で特定の疾患を持つ人は積極的に3回目を接種すべきという。
「腎臓移植を受けた人や自己免疫疾患で免疫抑制剤を使用している人は、2回の接種で得られる抗体価が非常に低いことが分かっているため、3回接種で抗体価を上げた方が良いでしょう」(同前)
各国の結果や自分の体調を鑑みて、医師に相談したうえで適切に判断する必要がある。
※週刊ポスト2021年8月20日号