ライフ

ワクチン「3回接種」のメリット・デメリット 4回打った人はどうなった?

3回目接種を受けるイスラエルのヘルツォグ大統領(写真/AFP=時事)

3回目接種を受けるイスラエルのヘルツォグ大統領(写真/AFP=時事)

 新型コロナウイルスのワクチンを2回接種したあとに感染する「ブレイクスルー感染」が報告されているという。そうしたことからワクチンの製造元である米製薬大手ファイザーが提唱するのが、「3回目」の接種だ。

 7月末にファイザーは、3回目の接種は2回目の後と比べ、18~55歳の若年層で5倍、65~85歳の高齢者層では11倍、デルタ株に対する抗体が多くなるとのデータを公表した。さらに同社幹部は、「2回の接種完了後、半年から1年以内に3回目の接種が必要になる」との見通しを明かしている。

 デルタ株の猛威でブレイクスルー感染が増加したイスラエルでは、8月1日から60歳以上の市民を対象に、3回目のワクチン接種を開始した。日本も7月末に河野太郎ワクチン担当相が「3回目を多分来年打つことになる」と発言している。ナビタスクリニック理事長の久住英二医師が解説する。

「2回のワクチン接種で基礎的な免疫をつけてからある程度の時間が経過すると、免疫機能の強さを示す『抗体価』が低下します。そのタイミングで3回目を接種すると、体内で作られた免疫機能が、再び抗原に接することで強化される『ブースト効果』が生じることが科学的に証明されています。これによって大幅に上昇した抗体価が、長期にわたって維持されます」

 だが3回接種がもたらすのは利点だけではない。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センターの一石英一郎教授が言う。

「2回の接種で身体は基本的な免疫を覚えています。そこに3回目を打つことでさらに強い免疫反応が引き起こされるため、副反応も強くなると考えられます。コロナワクチンは2回目の接種で強い副反応が出ることが分かっているので、3回目もさらに強い可能性はある」

 米疾病対策センター(CDC)と米食品医薬品薬局(FDA)は7月8日に「現時点ではワクチン接種が完了した人に追加接種は必要ない」との共同声明を出しており、慎重な姿勢を見せている。

「4回接種」の2人は…

 判断の参考になるのは“経験者”の声だ。実は、日本にはすでにワクチンを「4回接種」した高齢者が2人いる。

 ひとりは北海道・弟子屈町の80代男性。この男性は医療機関に出入りする業者で、今年4月と5月に医療従事者枠でワクチンを先行接種した。その後、弟子屈町の接種券を用いて6月と7月に高齢者枠で連続接種した。4か月連続接種となった男性に異変はなかったのか。

「本人曰く、『複数回受けたほうが、効果が高まると思った』とのことです。直近では7月中旬に本人に直接会って聞き取り調査をしましたが、元気に生活し、仕事もされているそうです」(弟子屈町の担当者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
高市早苗総理の”台湾有事発言”をめぐり、日中関係が冷え込んでいる(時事通信フォト)
【中国人観光客減少への本音】「高市さんはもう少し言い方を考えて」vs.「正直このまま来なくていい」消えた訪日客に浅草の人々が賛否、着物レンタル業者は“売上2〜3割減”見込みも
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン