3年生として「最後の夏」も優勝(胴上げされているのは中村監督。写真/共同通信社)
KKはPL学園の入学前から伝説を残していた。
井元は桑田の入学を前に、社会人野球・神戸製鋼を率いて都市対抗を制した経験などがある清水一夫に、桑田への指導を依頼した。
「今度、凄いピッチャーがPLに入学する。とにかく良い子で、特別な才能があると思うんです」
仕事が落ち着いていた時期で、二つ返事で了承した清水は、やはり桑田のキャッチボール姿を見ただけで、井元に伝えた。
「この子は素晴らしい。将来が楽しみだ」
当初、3週間の指導の予定が、いつしか夏までに延びていた。桑田は清水との出逢いによって、カーブが曲がるようになったと証言している。
【プロフィール】
柳川悠二(やながわ・ゆうじ)/ノンフィクションライター。1976年、宮崎県生まれ。法政大学在学中からスポーツ取材を開始し、主にスポーツ総合誌、週刊誌に寄稿。著書に『永遠のPL学園』(小学館文庫)。2016年、同作で第23回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
※週刊ポスト2021年8月20日号