実際、今年5月に参天製薬が行った調査によれば5割以上の人が「テレビ・インターネットコンテンツの視聴時間が増えた」と回答している。自身のYouTubeチャンネルで鈴木保奈美(54才)との離婚を電撃発表した石橋貴明(59才)や、米寿を目前にしてYouTuberデビューした黒柳徹子(87才)など、動画市場に参入する大物芸能人も多い。出演者の層が広がれば、視聴者の年齢層も広くなる。いまやスマホ動画を視聴するのは若者ばかりでない。都内在住の65才女性が興奮気味に話す。
「YouTubeには、子供の頃に大ファンだったジュリー(沢田研二・73才)やヒデキ(西城秀樹さん・享年63)の全盛期の動画が盛りだくさんなんです。1つの動画が終わっても、関連動画に見たいものが次々に出てくる。就寝前にスマホでジュリーやヒデキの往年の映像をチラチラと見ていたらもう止まらなくなり、気がついたら真夜中になっていたということがしょっちゅうです(笑い)」
『スマホ廃人』(文春新書)の著者でジャーナリストの石川結貴さんは、中高年はスマホ動画にはまりやすいと指摘する。
「“スマホ初心者”である多くの中高年にとって、アカウントの必要なオンラインゲームやインスタグラムなどは使いこなすまでのハードルが高い。でも動画なら、タダで簡単に昔ファンだった俳優やアイドルなどの大量のコンテンツが見られます。実際に私が取材した60代の女性は韓流アイドルの大ファンで、『山ほど動画があるので、むしろ見ないと彼らに申し訳ない』と真顔で語っていました。
コロナの影響もあります。ファンミーティングやコンサートが軒並み中止になり、好きなアイドルや俳優をリアルで追っかけられなくなった中高年が頼りにしたのがスマホ動画でした。ステイホームで家にいる時間が長くなるなか、料理や掃除の最中に横目で動画を見る“ながら視聴”に適していたこともハマる人が増えた一因でしょう」
確かに、コロナ禍でNetflixの業績は過去最大となっている。ステイホームの最中に流していた動画に見入ってしまい、気がついたらやめられなくなっていたという人は多いはずだ。
※女性セブン2021年8月19・26日号