国際情報

中国・台山原発1号機が運転停止 「異常なし」との主張から一転

中国政府が主張を変えたワケは?

中国政府が主張を変えたワケは?

 中国当局は7月30日、燃料棒に破損が見つかったとして、中国南部の広東省台山市にある台山原子力発電所の原子炉1基を停止し、メンテナンスを行うと発表した。だが、約1カ月半前には、中国政府の公式発表として、同原発で放射性物質漏れの可能性があるとする米CNNの報道を否定したばかりで、中国側の『臭いものにフタ』の態度に大きな不信感が募っている。

 台山原発の安全性をめぐって、米CNNは6月14日、同原発の建設に関わったフランスの原子炉メーカーであるフラマトム社が米政府に対し、台山原発に「差し迫った放射能物質による脅威」があると警告したと報道した。また、CNNが入手したフラマトム社から米エネルギー省に宛てた書簡では、「中国当局が運転停止を避けるため、原発外部の放射線測定の許容限界値を引き上げた」と書かれていることが分かっている。

 中国外務省の趙立堅報道官は6月15日、CNNの報道について「異常はない」と否定し、「中国は原子力の安全性を非常に重視している」などと発言し強く反論していた。

 さらに、中国生態環境省も16日、公式ホームページ上に、CNNの報道をめぐる中国国内メディアのインタビュー内容を掲載した。この中で同省は、原発の運転過程において、わずかな燃料棒に破損が見つかるのは「普通にみられる現象である」として、危険をもたらす懸念事案ではない姿勢を明らかにした。

 さらに、同省は「周辺の放射線量に異常はないし、いかなる(放射能)漏れも発生していない」と主張した。

 ところが、中国国務院(内閣に相当)の国有資産監督管理委員会の管轄下にある原子力企業、中国広核集団(CGN)は7月30日夜、台山原発で異常が見つかったとの声明を発表。

 それによれば、台山原発1号機が運転する過程において少量の燃料棒に破損が見つかり、フランス側の技術者との間で話し合いを行い、1号機の運転停止を決めたことを明らかにした。「異常はない」と発表した外務省発表を否定する形となった。そのうえで今後はメンテナンスを行い、破損の原因を調べ、破損した燃料棒を交換する予定で、原子炉は「安全でコントロールできる」と強調した。

 これについて、米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」はフラマトム社の親会社である仏電力公社(EDF)の責任者の話として、「台山原発で見つかった燃料棒破損の問題について、フランスであれば、まず原子炉の運転を停止する。停止する目的は、状況を把握し、問題の悪化を防ぐためだ」と指摘している。

 これについて、香港メディアは「フランス側の指摘がなければ、香港にも原子力汚染の被害が及んでいた可能性がある。中国政府は事実を確認して、しっかりとした対応をとるべきだ」と報じている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

インフルエンサーの景井ひなが愛犬を巡り裁判トラブルを抱えていた(Instagramより)
《「愛犬・もち太くん」はどっちの子?》フォロワー1000万人TikToker 景井ひなが”元同居人“と“裁判トラブル”、法廷では「毎日モラハラを受けた」という主張も
NEWSポストセブン
兵庫県知事選挙が告示され、第一声を上げる政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏。2024年10月31日(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志容疑者、14年前”無名”の取材者として会見に姿を見せていた「変わった人が来るらしい」と噂に マイクを持って語ったこと
NEWSポストセブン
千葉ロッテの新監督に就任したサブロー氏(時事通信フォト)
ロッテ新監督・サブロー氏を支える『1ヶ月1万円生活』で脚光浴びた元アイドル妻の“茶髪美白”の現在
NEWSポストセブン
ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
騒動から約2ヶ月が経過
《「もう二度と行かねえ」投稿から2ヶ月》埼玉県の人気ラーメン店が“炎上”…店主が明かした投稿者A氏への“本音”と現在「客足は変わっていません」
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン