1972年、千葉真一さんとの結婚会見(共同通信社)
2016年にがんが再発してからも、母とは毎日、色々な話をしました。ドラマの撮影が続いて辛そうだったので「休めないの?」と聞いても、母は「そういうわけにはいかない」と言う。どんな状況でも一度受けた仕事の責任を果たそうとしている姿を私は見ていました。入院中には、私が出ている番組を見て「あなたはよかったけれど、出番が短い。もうちょっと見たかった」と文句を言ってくれました(笑)。普段の母はおふざけが好きな三枚目でしたが、仕事には厳しかったからそれは嬉しい言葉でしたね。
母がそう思っていたのかはわかりませんが、最後の入院をした時も私は必ず退院できると信じていました。亡くなる1週間ほど前、病室に2人でいる時に、母は私を力強く抱きしめてくれました。片手は点滴を打っているからもう一方の腕で、病気とは思えない力で、“絶対に離さない”といわんばかりに私の頭を抱きしめてくれた。その時母は何も言わなかったけれど、それが言葉以上に大きな思いとして私に伝わってきました。
その後、症状が悪くなり、話もできなくなって……。最期は親族やスタッフに見守られて、私が母を抱きしめたまま息を引き取りました。
※週刊ポスト2021年8月20日号