スタジオでは開会式に出演したはるな愛にオーディションや練習での裏話を聞いた。はるなは「片翼の小さな飛行機」の主役を演じた和合由依さんが開会式直後に号泣していたと明かした後、さまざまな障害をもった出演者同士の連携がよかったと振り返る。
「移動するフォーメーションもスピードがみんな違うけど、そこもみんなに合わせて作っていく。なんかこういう社会が本当に広がっていけばいいなというチームワークでした」
みんな違ってみんないい、という理念。はるなの言葉に司会の中山秀征も共感していた。“感動”のある番組だったが、当事者の思いや違いや個性を尊重する姿勢が濃く、安手の“感動ポルノ”ではなかったと評価できる。その証拠に競技は競技としてきちんと見せていた。
ちょうど1週間前に同じ日本テレビが放送した『24時間テレビ』以上に、自然な形で視聴者に考えさせて感動を誘う番組になっていた。
車イスのアイドルが競技を解説(TBS『サンデージャポン』8月29日放送)
爆笑問題の2人が下世話な視点も交えてゲストたちとスキャンダルから硬派なネタまで話し合うトークバラエティ番組だ。この日は東京パラリンピックの映像をふんだんに使って振り返った。
ここでも開会式で「片翼の小さな飛行機」と主役を演じた中学2 年生の和合由依さんに注目。レギュラー出演者のデーブ・スペクターも東京五輪の開会式を「手抜き」と猛批判していたが、「どうやらオリンピックの開会式はパラリンピックのリハーサルだった模様」と納得の様子だ。
筆者が注目したのはこの番組が「パラリンピックではオリンピックで見ることができない光景が話題に」と「豆知識」を伝えた点だ。全盲クラスの水泳男子の自由形では、長い竿を使ってターンのタイミングを選手に合図する「タッパー」と呼ばれるサポート役に注目。男子400m自由型(S11、全盲)で銀メダルを獲った富田宇宙選手がタッパーを「完全にチーム」と評するコメントを放送した。
さらに陸上の男子5000m(T11、全盲)では、唐澤剣也選手が銀、和田伸也選手が銅を獲得したが、番組では選手の隣で“目”の役割を担う「ガイドランナー」を紹介。“きずな”と呼ばれるロープを握り合って「10mでカーブ」などと声をかけて選手をゴールまで誘導する。元駅伝選手など実力者が務めることが多いと説明があった。唐澤選手の場合は“シンクロ率”を上げるため、ガイドランナーと毎日練習と食事を共にしているとしてその様子の映像が流された。