パラリンピックは、それぞれの障害者がその制約の中でアスリートとして勝負をかけるものなので、そうした「スポーツとしての見方」を示す描き方が出てきていることは一歩前進だといえる。以前と比べても露骨なかたちの“感動ポルノ”は姿を消しつつあるように思う。障害をもったアスリートも障害のないアスリートと同様に存在するのが「あたりまえ」として意識の中で可視化が進んでいけば、仮に“感動ポルノ”のように描く番組があったなら、それは批判を受けるだろう。

 パラリンピックの開催期間もあと残りわずか。テレビで障害をもったアスリートたちがどのように描かれていくのか。描かれ方の変化にも注目しながら残りの競技を楽しんでいきたい。

【PROFILE】1957年北海道生まれ。札幌テレビで生活保護の矛盾を突くドキュメンタリー『母さんが死んだ』や准看護婦制度の問題点を問う『天使の矛盾』を制作。ロンドン、ベルリン特派員を歴任。日本テレビで「NNNドキュメント」ディレクターと「ズームイン!」解説キャスターを兼務。『ネットカフェ難民』の名づけ親として貧困問題や環境・原子力のドキュメンタリーを制作。芸術選奨・文部科学大臣賞受賞。2012年から法政大学社会学部教授。2016年から上智大学文学部新聞学科教授(報道論)。放送批評誌「GALAC」前編集長。近著に『内側から見たテレビ─やらせ・捏造・情報操作の構造─』(朝日新書)、『想像力欠如社会』(弘文堂)。

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