体質に合っているのか

 高血圧の治療薬として使われる降圧剤のカルシウム拮抗薬や抗てんかん薬などの発作を抑える薬では、体内で有効成分が溶け出す時間を調節したり、血中濃度を保つために徐放剤(有効成分がゆっくり溶け出す薬)が望まれるが、「ジェネリックでは再現が難しい要素の一つです」と佐藤医師は言う。

 錠剤の「形状」や、薬の「包装材」によっても、薬としての性質が変わることがある。

「腎不全の治療に使われる尿毒症治療薬では、先発薬は〝金平糖〟のようなギザギザした形でしたが、ジェネリックは丸形になりました。すると、ジェネリックでは血中濃度、薬の効き目が落ちてしまった。先発薬の金平糖形は表面積が大きいことで体内で吸収されやすく、形が効き目に貢献していたのです。

 また、魚脂から作られた血液をサラサラにするための粒状の薬は、酸化を防ぐために袋の中に窒素を充填していました。しかし、ジェネリックでは酸化による悪臭が生じてしまった。臭いによる飲みにくさだけでなく、品質保持にも影響があったという研究結果もありました。包装材の技術も重要なのです」(同前)

 先発薬では発売後の改良があったのに、ジェネリックにそれが反映されるまでに時間がかかるというケースもある。

「ある抗生物質は、100mgを1日3回飲むことになっていたところ、効果が悪いうえに“耐性菌”を増やしてしまった。そのため、500mgを1日1回と変更することで、一気に細菌を倒し切る方が良いとわかった。

 先発薬はすぐに変更したものの、ジェネリックではメーカーごとに対応が分かれました。100mg製剤のまま、しばらく販売されたものもあり、そのまま処方し続けていいのかどうか現場は困惑しました」(同前)

 病院や薬局の窓口でジェネリック薬を勧められることの多い患者は、どう見極めるべきなのか。前出・岡田医師が言う。

「多くの医師は、『どっちでもいいんですよ』と言うかもしれません。しかし、ジェネリックと先発薬は同じ薬ではないし、かといって全く違う薬でもない。ジェネリックに変えたことで違和感を覚えたら、自己判断をする前に医師に相談してください。変えたあとは、患者さん自身が経過観察を行なう。たとえば血圧の薬をジェネリックに変えたら、血圧の変動や脈拍について確認してください。その微妙な違いをチェックし、自身の症状や体質に合う薬を選ぶことが大事です」

 先発薬にしろ、ジェネリックにしろ、自らに合う薬を見つけることが肝要だ。

※週刊ポスト2021年9月10日号

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
リモートワークや打合せに使われることもあるカラオケボックス(写真提供/イメージマート)
《警視庁記者クラブの記者がカラオケボックスで乱痴気騒ぎ》個室内で「行為」に及ぶ人たちの実態 従業員の嘆き「珍しくない話」「注意に行くことになってるけど、仕事とはいえ嫌。逆ギレされることもある」 
NEWSポストセブン
「最長片道切符の旅」を達成した伊藤桃さん
「西国分寺から立川…2駅の移動に7時間半」11000kmを“一筆書き”した鉄旅タレント・伊藤桃が語る「過酷すぎるルート」と「撮り鉄」への本音
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
伊勢ヶ濱親方と白鵬氏
旧宮城野部屋力士の一斉改名で角界に波紋 白鵬氏の「鵬」が弟子たちの四股名から消え、「部屋再興がなくなった」「再興できても炎鵬がゼロからのスタートか」の声
NEWSポストセブン
環境活動家のグレタ・トゥンベリさん(22)
《不敵な笑みでテロ組織のデモに参加》“環境少女グレタ・トゥンベリさん”の過激化が止まらずイギリスで逮捕「イスラエルに拿捕され、ギリシャに強制送還されたことも」
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
荒川静香さん以来、約20年ぶりの金メダルを目指す坂本花織選手(写真/AFLO)
《2026年大予測》ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート 坂本花織選手、“りくりゅう”ペアなど日本の「メダル連発」に期待 浅田真央の動向にも注目
女性セブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン