「劇症肝炎」を発症
もう一つのタイプである「アセトアミノフェン」のなかで大きなリスクとなるのが「肝障害」だ。
「アセトアミノフェンは肝臓で代謝されて肝障害を発症するリスクがあります。実際に医療用のアセトアミノフェンの添付文書には赤字で『警告』として、『過量投与による重篤な肝障害が発現するおそれがある』と記されています」(長澤氏)
長澤氏の知人はコロナワクチンの接種後に発熱した際、アセトアミノフェンを大量に服用して「劇症肝炎」を発症した。
「決して頻度が高いわけではありませんが、肝機能が低下し黄疸や倦怠感が生じれば重篤な症状に陥ることはあります。今はワクチン接種に備えて大量のアセトアミノフェンを準備している人が多いが、服用には十分気をつけてほしい」(長澤氏)
アセトアミノフェンは抗凝固薬や抗てんかん薬との組み合わせもリスクが指摘されている。治療中の持病がない人も油断は禁物だ。
「最近は腰痛や肩こりなどで市販の解熱鎮痛剤を常用する人が多い。どちらのタイプでも日頃から飲んでいると血中濃度が上がってしまうので組み合わせの際には注意してほしいです」(長澤氏)
解熱鎮痛剤はワクチンの副反応の辛さを和らげてくれるが、常用薬のある人にとっては、新たな問題の発生にもつながることを知っておきたい。
※週刊ポスト2021年9月17・24日号