仕事後に開催される女子会シーンも話題だ。『ハコヅメ』で登場する女子会はSNSでよく見るような華やかに着飾った女子会とはほど遠い。警察宿舎の一室に集まり、砕いたカップラーメンをつまみに部屋着でビールを飲むという、素朴かつ庶民的なものだ。その“リアルな女子会”こそ視聴者の共感を得ているのではないかと折田氏はみる。
「今までのお仕事ドラマにも女子会のシーンは登場したかもしれませんが、警察ドラマというのはジャンル性が強くて、こんなシーンはほとんどなかった。意外性がマッチしていますよね。仕事後に部屋着とかTシャツで恋愛や仕事について話す何気ない姿には、多くの社会人が共感できるリアルさが成立しているように思います。警察という職業自体は視聴者にとって身近じゃなくても、女子会での会話に共感することで、警察官として奮闘している彼女たちを身近に感じられるのでしょう」
ただ単に等身大の働く女性を描くだけではなく、少しだけ現実からかけ離れた“理想”もちらつかせる。
「叱るときは叱って、褒めるときは褒める藤。川合はそれに対して、声を上げて喜んだり、わかりやすく落ち込んだりときちんとリアクションをする。男性社会のなかで生きる女性警察官たちが、先輩後輩でも友達同士でもなく、そういう域を超えた関係性を築き上げていく姿に、視聴者は共感しつつも心のどこかで内なる願望を重ねているのかもしれません。そんなふうに自分たちの理想を投影できるくらい、川合と藤のやりとりはリアルなんです」(折田氏)
9月15日の放送でいよいよ最終回を迎える。藤と川合の凸凹コンビはどんなドタバタを見せてくれるのか。