加速力、燃費はライバル車に比べて「並」
これらに比して並のパフォーマンスと感じられたのは2モーター式のハイブリッドシステム。重量の大きいAWDだったこともあろうが、GPSを用いた実速度ベースの0-100km/h加速の計測値は10秒フラット。Bセグメントのハイブリッドとしてはそこまで鈍足というわけではないが、同格のライバルで6月に試乗したノートの電動AWDが実測7秒台だったのに比べるとかなりのビハインドだ。
タイムが振るわなかったのは静止状態からのスタートがもっさりしているのが主因で、コンピュータの制御プログラムがロケットスタートを決められるようなものだったら1秒くらいはすぐ詰まるだろう。ちなみに40km/hから80km/hのレンジの加速力は良好で、登坂区間で低速車両を一気に追い抜かすようなシーンではパワー不足はまったく感じなかった。
燃費はもうひと伸びしてほしかった
燃費は走り方による変動が少ないのが特徴。飛ばし気味に走っても燃費の低落はわずかであるかわりに、注意深く走ってもそれほど良好な数値にはならなかった。
旅行中の通算燃費は満タン法による実測で22km/L(リットル)。最も悪かったのは坂道と渋滞だらけの鹿児島市街地をメインに走ったときの18.2km/L、最も良かったのは旅の最後に愛知から東京まで高速に乗らず、速度がやや遅い国道1号線バイパスをメインに走った区間の26.8km/L。長距離ドライブ時はおおむね21~23km/Lだった。
絶対的な経済性はリッター20kmを超えれば十分に高いと言えるのだが、2クラス上のDセグメントミッドサイズセダン「アコード」が市街地を除き、フィットクロスターより良好な燃費を記録していたことを考えると、もうひと息伸びてほしいところ。昨年短距離試乗を行ったFWD(前輪駆動)版のハイブリッドモデルはクロスターよりずっと良い数値を出していたので、AWD化による燃費低下は実走行でもそれなりにあると言えそうだった。
走り方による燃費の変動は少ない(山陰線の橋梁をバックに)