デザイン変更が裏目に出た過去

 このように、欠点も見受けられるものの長距離旅行のようなハードな使い方にも十分に耐える性能や機能を持ち合わせていたフィットクロスター。3400kmあまりのドライブを終えて、ライバルの攻勢の前に防戦一方になっている理由は何かということについてあらためて考えてみたが、少なくとも商品力そのものに問題があるようには思えなかった。

 序盤で述べたように、ホンダの判断はデザインが不振の主因というもの。加えて「価格が高いのもネック」(前出のホンダ関係者)と捉えている。早期に行われるという大規模改良の主眼はこの2点となるらしい。

 だが、今回長距離ツーリングを行ってみた感触としては、そこに大きくメスを入れることが正鵠を射ているかどうかは五分五分という気がした。

テスト車両にはオプションのルーフレールが装着。おとなしすぎる外観の引き締め効果が感じられた

テスト車両にはオプションのルーフレールが装着。おとなしすぎる外観の引き締め効果が感じられた

 まずはデザイン。クロスターを例外として、通常モデルはグリルレスマスクを持っている。これがユーザーに不評という話なのだが、筆者としてはフィットのデザインが販売不振の原因になるほどダメなようには感じられない。

 デザインのトレンドは時代によって目まぐるしく変わるもので、今の日本では攻撃的な雰囲気の肉食系デザインが流行っている。デザインの良し悪しというより、トレンドの変化の読みを外したと言ったほうが当たっているような気がする。

 もちろん人気の低いデザインを変更すること自体は悪いことではないが、第4世代フィットのようにミニマリズム志向でキレイにまとめられたクルマの場合、メスを入れた部分が浮いて、かえってバランスを崩してしまうということがよくある。

 21世紀に入ってからのホンダ車のなかでは「エリシオン」という大型ミニバンがその好例であろう。日産「エルグランド」やトヨタ「アルファード」と同クラスながら、“お上品路線”のデザインで差別化を図った。が、大型ミニバンユーザーはそんなお上品なデザインはまったく望んでおらず、販売は低迷。

 慌てたホンダはモデルライフ途中で巨大なグリルや険しい目つきのヘッドランプ、大型テールランプ等々のリデザインを行ったのだが、スリークなスタイルにその変更はまったく似合わず、販売は余計低迷した。フィットもグリルレスマスクの修正くらいなら大きな問題は起こらないだろうが、大げさなことをやると傷口を広げることになりかねないので注意が必要だろう。

フィットクロスター(ホンダ)

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