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高齢者への「多剤処方」問題の背景 医師の漫然処方や知識不足も一因

「薬局ヒヤリ・ハット」に報告された併用注意の危険な事例

「薬局ヒヤリ・ハット」に報告された併用注意の危険な事例

 各事例では、「なぜ起きたか」も分析されている。ある70代男性患者は、抗凝固薬(ワルファリン)を服用中に、「併用禁忌」である抗リウマチ薬が処方された。両剤の併用でワルファリンの作用が増強され、重篤な出血の恐れがある。薬剤師が処方医に疑義照会をして抗リウマチ薬の処方が削除されたという。

 報告書では、本ケースの発生要因を〈処方医の相互作用に対する知識不足。他病院での処方内容の確認不足〉と指摘する。

 そのほかにも、上掲したリストにあるような「併用注意」の組み合わせが処方された実例がいくつもある。以下、「薬局ヒヤリ・ハット事例」に記載された症例を見ていく。

 もともと、降圧剤のカルシウム(Ca)拮抗薬とその他10種類の薬を服用中だった80代男性のケース(別表症例)。

 その後の受診で別のCa拮抗薬が重複して処方され、28日間の服用後、さらに降圧剤のサイアザイド系利尿薬が追加処方され3種類となった。ここから再び28日間服用した後、薬局で薬剤師が重複処方に気が付いたという。

「降圧剤のCa拮抗薬同士やサイアザイド系利尿薬との併用によって、降圧作用が増強され低血圧になる恐れがあります。高齢者が低血圧になると、脳への血流が減少し、めまいや立ちくらみ、失神などで転倒事故のリスクが高まる。命に関わります」(一石医師)

 なぜ危険な処方がされたのか。事例集では〈処方箋が4枚になっており、しっかり確認できていなかった〉と薬剤師のミスも指摘するが、そもそも処方したのは医師である。

「血圧が下がらずに薬が追加され、処方箋が何枚にもなることは少なくありません。医師が忙しさのために重複の確認ができず、薬剤師からの問い合わせで気付くことはあると思います」(一石医師)

※週刊ポスト2021年10月1日号

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