批評家・作家の東浩紀氏

批評家・作家の東浩紀氏

憲法よりも同調圧力

小林:結局、日本では、法の支配ができてないわけですよ。移動の自由や集会の自由を定めた憲法よりも、同調圧力や村社会のルールのほうが強い。

 スウェーデンは、国民の行動を縛る規制や、子供から教育機会を奪う休校は憲法違反だからしないといって、実は集団免疫を目指そうとしてきた。人口当たりの死者数で比較したら、ロックダウンなど厳しい規制をしたイタリアやイギリス、アメリカ、フランスなどより少ないんです。

東:一時期は「スウェーデンのように集団免疫に失敗した国」みたいな枕詞になっていたんだけど、最近ではスウェーデンの戦略が見直されてきていますね。

小林:わしはずっと成功しているって言い続けてるよ。オーストラリアなんて年中ロックダウンしていて、公園をマスクなしで歩いていたら、警察に逮捕されるんですよ。そのほうがいいの?

東:ロックダウンやれって叫んでる人たちには、やれるものならやってみろと言いたいね。街中に警察官を立たせて、検問やって、どれだけコストがかかるか。街の構造もロックダウンするようにできていない。そもそも日本人って統一された身分証明書を持っていないんですよ。それでどうやって検問をやるのか。

小林:みんなロックダウンがどういうものかわかってないんだよ。

東:身分証明としてワクチンパスポートを発行するという話も出ていますが、国は個人のワクチン接種情報を集約的に持っていない。だから、自治体ごとに発行し、スマホを持っていないお年寄りのために紙になるでしょう。マイナンバーに紐づけすれば便利なのに、個人情報が漏れるのが怖いといって反対してきたわけです。そんな遅れた国でロックダウンなんてできるわけない。

三浦:国がプライバシーに踏み込んでくるのは嫌だって反対した人たちと、今、ロックダウンやれって言っている人たちは重なっているんですよね。

 若者の屋外飲みを報じたTV番組で、コメンテーターが、自分が学生の時分に河川敷で騒いだら機動隊に徹底的にやられたと発言し、警官の導入に言及したというのでびっくりしました。河川敷で若者がバーベキューをしているだけですよ?

小林:バーベキューに機動隊突入? すごいな、それ(笑)。

三浦:若者を悪者に仕立てて、強権を発動せよというのは簡単です。だけど、特定の層を叩くために警察力や軍事力を使うというのは、絶対やっちゃいけないことのはず。

 オーストラリアはロックダウンに軍まで投入していますが、我々は災害救助に自衛隊を派遣するけど、学生運動の鎮圧は機動隊だったじゃないですか。感染症対策のためなら軍を投入してもいいというのが先進国の常識になったら、中国と何が違うのかと。

小林:天安門事件まであと一歩だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン