首都直下地震などの災害時に、警察や消防、自衛隊が利用する「緊急自動車専用路」にも注意が必要な箇所がある。
「国道20号線(甲州街道)沿いの西新宿の都庁近くから世田谷の給田までには、III判定にもかかわらず未措置状態の歩道橋が18箇所あります。とくに笹塚駅前や下高井戸駅前に集中している。
災害時にこれらの歩道橋が倒壊すれば、住民が事故に遭う可能性があるだけでなく、緊急車両が通行できず、救助活動などが滞る恐れがあります」(同前)
一般道だけでなく、首都高も油断できない。
「現在の首都高は全体的に大規模な修繕が進んでいますが、なかには麻布十番駅近くの首都高2号目黒線など修繕が遅れている箇所もあります。しかも、首都高全体で完成から50年以上経った箇所は2割に達します。
ほぼ24時間365日、頻繁に車が往来する首都高にかかる負荷は重く、鉄筋の腐食もどんどん進んでいるため、いつ崩落が起きてもおかしくない状態です」(同前)
2012年に山梨県の中央自動車道で発生した「笹子トンネル天井板崩落事故」では、老朽化した天井板のコンクリート落下に走行中の車が巻き込まれ、9人が死亡した。
悲惨な事故発生をきっかけに点検制度が強化され、首都高を含めた都内23区のトンネルはほとんどが修繕に着手している。
「ただし交通量の多い『六本木トンネル』や『麻布トンネル』、新国立競技場の目の前にある『千駄ヶ谷トンネル』などが未措置状態のまま取り残されています」(同前)
※週刊ポスト2021年10月8日号