芸能

三遊亭円楽が考える引き際 高座を降りてもできる“落語への恩返し”

三遊亭円楽は自身の引き際をどう考えるか(時事通信フォト)

三遊亭円楽は自身の引き際をどう考えるか(時事通信フォト)

 生涯現役社会において、誰もが考えなければならないのが、自身の“引き際”をどう考えるかという問題。著名人の場合はどうだろうか。自身の引き際について「迷いがあった」と明かすのは、三遊亭円楽さん(71)だ。師匠である先代と『笑点』で共演した桂歌丸さんが、対照的な引き際だったからである。

「先代円楽の引き際は、それは潔いものだった。国立演芸場で、自分の落語に『納得がいかない』と言って引退宣言し、ポンと身を引いた。引退後はお孫さんたちに囲まれて、幸せそうでした。

 かたや歌丸師匠は肺を患い、COPD(慢性閉塞性肺疾患)と闘いながら、車椅子に乗り、酸素ボンベをつけながら、入院して亡くなるぎりぎりまで全国を回った。高座を降りてきて、苦しそうに酸素を吸う姿を見てきたからこそ、落語の仕事に“呼ばれたら行く”という生き様にも惹かれます。

 両師匠とも肺の病気だった。私も3年前に肺がんをやり、それが脳とリンパ節に転移して、今も闘病中です。で、自分はどっちだろうと考えたんだよね」

 結果、見つけたのは、“第三の道”だった。

「15年前から博多・天神落語まつりという、東西50人以上の人気落語家を集めた祭典をプロデューサーとしてやっている。札幌でも落語まつりをやっている。自分が出ない日もあるから、高座を降りても“プロデューサーに専念する”という目もあるなと気づいたんです。落語を教えるより、落語の場を作ることで落語に恩返しする、芸の伝承のお手伝いをするのもひとつの手だなって。

 もちろんまだ高座に呼んでくれるところはあるし、円楽の看板でお客さんが来てくださるなら、やる。でも『あなたじゃ(客が)入りません』と言われたら引くしかない。

 落語家の限界がどう出るかは人それぞれです。記憶力が落ちるとか、ろれつが回らないとか。私も脳腫瘍をやっているからその恐ろしさも知っている。自分が一番わかるから、“人に言われる前に高座を引かなきゃいけない”とは思っています。でもまあ、まだしばらくは頑張らせてくださいよ」

※週刊ポスト2021年10月15・22日号

関連記事

トピックス

初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン