ビジネス

減資で危機を乗り切る鉄道会社 緊急事態宣言解除で次の一手は

資本金を1億円へ減資した北九州モノレール

資本金を1億円へ減資した北九州モノレール

 2020年から続く新型コロナウイルス対策によって、世界中の経済が大きな影響を受けている。日本も例外ではなく、かつては忌避された資本金を減らす行為、減資へ踏みだし大企業が中小企業となる選択を選ぶケースも増えてきた。鉄道会社にも同様の事例が生まれているが、新型コロナの影響はもちろん、長年の経営体質改善も目的とされているようだ。ライターの小川裕夫氏が、鉄道会社の減資に特有の事情をレポートする。

 * * *
 10月1日、緊急事態宣言が全面的に解除された。これにより、都道府県をまたぐ移動や飲食店などの営業規制が緩和される。

 昨春からつづく新型コロナウイルスの感染拡大は、日本経済に大打撃を与えた。2020年以降、コロナ禍で資本金を1億円以下へと減資した企業が続出。有名企業でも、賃貸アパート事業を手がけるレオパレス21、かっぱ寿司でお馴染みのカッパ・クリエイト、格安航空料金で業績を拡大したスカイマーク、全国紙の毎日新聞社、スマホゲームのグリー、大手旅行代理店のJTBなどが資本金を1億円へと減資している。

事業規模に合わせ減資した北九州モノレール

 資本金が1億円以下の企業は、法人税法において中小企業として扱われる。中小企業になると、法人税や法人事業税などの税負担が軽減されるといった優遇措置がある。

 福岡県北九州市の小倉駅-企救丘(きくがおか)駅間を約8.8キロメートルで結ぶ北九州モノレールは、2020年度に年間利用客が約350万人も減少した。これは観光客だけではなく通勤・通学利用者も含めた数字だが、減少した理由はテレワークなどの在宅ワークが進んだことや都心部への買い物・外出の自粛といったコロナの影響をもろに受けた形だった。

 利用客が減少すれば、経営にも大きな影を落とす。北九州モノレールは経営状況を改善するために車両や土地、社屋といった保有する固定資産の帳簿上の価値を引き下げる減損処理を実施。同時に、資本金を30億円から1億円へと減資している。

「今回の減資は、昨年から検討していたものです。北九州モノレールは北九州市が100パーセント出資する第3セクターの鉄道ですが、市内全域をカバーしている路線ではありません。そうしたことも踏まえて、事業規模に合わせる目的で減資をしました」と事情を説明するのは北九州モノレールを運行する北九州高速鉄道の担当者だ。

 北九州高速鉄道の担当者は「1億円への減資は、税負担の軽減を目的にしたものではない」と強調した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」