国内

日大病院背任事件 繰り返される不祥事の背景に「割れ窓理論」

 

田中理事長の自宅も家宅捜索が行われた

田中理事長の自宅の家宅捜索が行われた(写真/時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、日本大学医学部付属板橋病院の建設を巡る背任事件について。

 * * *
 日大でまた問題が起きた。いや、さらに大きな事件が起きた。それも前回と同じ人間が今回の事件に関与しているというのだから、日大は問題を起こした人物を放置してしまったのだろう。というと、どうもそうではないらしい。だが、一度処分したはずの者を返り咲かせ、犯罪の温床になっていたのは事実だ。

 日大の現職の理事で、日大事業部元取締役の井ノ口忠男容疑者が10月7日、東京地検特捜部に逮捕された。日本大学付属病院の建て替え工事を巡り、田中英寿理事長の最側近とされる井ノ口容疑者が大学から不正に流出させた金は2億2000万円。その金は井ノ口容疑者の指示で、共犯で逮捕された大阪の医療法人「錦秀会」の前理事長、藪本雅巳容疑者が出資する実体のないペーパー会社に送金された。そこから6000万円以上の金が井ノ口容疑者の関連会社に送られ、そのうち少なくとも2500万円が別会社を通じて井ノ口容疑者の手に渡ったということらしい。金銭授受について、田中理事長の自宅には2度の家宅捜索が入り、任意で事情聴取も行われている。

 ごつく怖そうな見た目の人間が3人も登場すると、「いかにも!?」という雰囲気がするものだ。それもそのうち2人は2018年5月、世間を騒がせたあの日大アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で批判を浴びた人物だったから、ますます強面のイメージが強くなってくる。

 田中理事長といえば悪質タックル問題の時、大学の理事長として世間やメディアから幾度となく会見を求められたのに、3か月経ってから声明を出しただけで、とうとう最後まで表に出てこなかった人物だ。その理由を「ただ笑い者にされて、利用されるだけ」と日大校友会で述べている映像がメディアに流出し、自己保身が強く誠実さに欠けるという印象を持った覚えがある。

関連キーワード

関連記事

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン