芸能

そのうち日本のアイドル声優は中国に所属するようになるかもしれない

中国最大のゲームショウChinaJoy 2021でのbilibiliブース(Imaginechina/時事通信フォト)

中国最大のゲームショウChinaJoy 2021でのbilibiliブース(Imaginechina/時事通信フォト)

 訪日観光客が激増していた時期、爆買いツアーなどでデパートや高級店だけでなくドラッグストアなどの量販店にも多くの外国人観光客の姿があふれていた。多くの日本人は、日本で販売されている商品の質が高いからだと考えていたが、外国人の本音は「日本は安い」からだった。モノもサービスも日本と日本人は安い「チープジャパン」が真実だった。俳人で著作家の日野百草氏が、「日本人は安い」と仕事を依頼する中国のオタクカルチャー産業が、日本の女性声優にもコンテンツとしての可能性を見出している現状を聞いた。

 * * *
「大陸から面白い依頼がありましたよ、日本の人気声優が欲しい、中国ならもっと売れると」

 ぜひ話を聞いて欲しいとメールをくれた栗田新二氏(40代・仮名)。筆者の古い知り合いだが、もう10年以上会っていなかった。拙ルポ『アニメやゲーム業界「日本人は安くて助かります」その由々しき事態』を読んで連絡をよこしたという。この記事をきっかけにアニメやゲームはもちろんIT、運輸、建設など他にも多くの中抜き(経済用語ではなくピンハネを意味する俗語)情報が寄せられたが、疎遠だったとはいえそれなりに知った仲でエビデンスの容易な栗田氏の電話を優先した。中抜き問題はこれからも追及する。

 いま彼は主に電子コミックを手掛けるプロダクションにいる。この会社は中国とのマーケティング企画なども手掛けている。彼自身もかつてメディアミックス系の出版社にいたため声優業界にも精通している。いまはなき声優誌のライター経験もある。

「中国系エージェントの日本事務所からですけど、日本の声優は中国で大人気なんです」

 日本の声優、とくに若手女性声優は中国でも大人気だ。コロナ禍もその人気は衰えを知らない。水樹奈々、花澤香菜といった不動の大人気声優を筆頭に日本の女性声優が次々と取り上げられファンを獲得している。豊崎愛生や徳井青空は中国最大級の動画共有サイト「bilibili(ビリビリ)」にチャンネルを開設、大橋彩香も同じく「bilibili」でオンラインライブを開催する常連だ。上坂すみれは「政委」(司令官の意味)として崇められている。

「日本語のままがキュートみたいで、中国語できなくてもいいみたいですね」

日本の若い女性アイドル声優は中国人のオタク男性にとって特別

 中国のオタクは古くから日本のアニメを字幕で見ていたので気にしない。むしろ日本の女性声優の声がなければ、というファンが大半だ。

「中国も声優はいますけどね、日本の女性アイドル声優に比べたら扱いは低いです」

 中国では声優のことを「配音演員」と呼ぶ。最近では日本語の「声優」が浸透しているようだが、「アイドル声優」という文化を模倣しようとはしても育成はまだまだ。日本独特の文化とそれに裏付けられた育成システム、そして人材は一長一短にはいかない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

解散を発表したTOKIO(HPより)
《TOKIO解散には迷いなし?》松岡昌宏、「男気会見」で隠せなかった本音 唯一違った“足の動き”を見せた質問とは?
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン