森喜朗・元首相もかつて自民党に追加公認されたひとり(時事通信フォト)
無所属で出馬した候補を選挙後に「追加公認」するのは、自民党の“伝統芸”である。自民党関係者はこう話す。
「かつての中選挙区時代には、ひとつの選挙区に複数の保守系候補が立つことは珍しくなかった。そうしたなかで、自民党からの公認を得られなかった保守系の候補が、“選挙に通ったら自民党に入れる”というかたちの処理がなされるケースが少なからずあった。
たとえば森喜朗・元首相はもともと、岸信介氏の側近だった今松治郎・衆院議員の秘書を務めていたが、1969年に旧・石川1区から出馬した際には自民党からの公認が得られなかった。無所属候補として出馬し、下馬評を覆してトップ当選を果たすと、自民党に追加公認された。
鈴木宗男氏(現・日本維新の会参院議員)も、中川一郎・元農相の秘書から1983年に旧・北海道5区に初出馬した際は無所属だった。中川氏の長男である昭一氏(元財務相)と激戦の末に当選を果たし、自民党に追加公認された」
神奈川1区の松本氏や奈良3区の田野瀬氏は、今回は「無所属」とはいえ、自民党が同選挙区で候補を立てていない以上、“事実上の自民党候補”であり、「追加公認」が視野に入っていることは想像に難くないだろう。コロナ禍のなかでの銀座豪遊議員の復党が許されるのか、有権者の判断に注目が集まる。