亀井:放漫財政なんて言うが、どんどこどんどこやればいいんだよ。財源が足りないと言うが、国債がある。俺が政調会長の時に本当に苦労したのは、財源を作れないんだよ。あの頃は国債発行をしようと思っても、日銀が引き受けてくれなかった。当時は、借金で脹らまそうとしても、手足を縛られていた。
でも今は日銀が政府の借金を引き受けてくれる。政府としては右のポケットと左のポケットで同じことなんだ。だから今の政府は無限の財源を持っている。それなのに借金、国債発行は悪だと言うことは間違っています。
藤井:私は、民主党政権の時に財務大臣としてバラまきました。その尻拭いを今しているのは私の責任なんですよ。東日本大震災の復興税という名目でもやりました。その責任はすべて負います。
今、MMT(自国通貨建て国債はデフォルトしないとする現代貨幣理論)なんて言っていますが、あんなのはあり得ません。
山崎:高市(早苗・自民党政調会長)さんがバラマキ批判にさっそく噛みついたのに対し、一方で経済同友会の代表幹事が賛意を表したのも興味深い。バラマキ政策は安倍政権だから、高市さんとしては安倍政権のやったことにケチをつけることは許されない、という感覚で言ったんだと思います。
藤井:あれは単に安倍さんのフォローです。
亀井:いやいや、彼女は次の時代を担うリーダーの器ですよ。安倍晋三が後ろ盾だなんだと言われているが、それは晋三が経済を分かっているという前提の話でしょう。前提が間違ってるんだよ。
藤井:それは同じ清和会の塩川正十郎さん(元財務大臣)がまさしく同じことを言っていました。安倍さんは経済のことを何も分かっていないと。
(第3回に続く)
【プロフィール】
亀井静香(かめい・しずか)/1936年生まれ。1979年初当選。国民新党代表、運輸大臣、建設大臣、自民党政調会長などを歴任。
山崎拓(やまさき・たく)/1936年生まれ。1972年初当選。自民党幹事長、党副総裁、防衛庁長官や建設大臣などを歴任。
藤井裕久(ふじい・ひろひさ)/1932年生まれ。大蔵官僚を経て1977年初当選。大蔵大臣、財務大臣、内閣総理大臣補佐官、民主党代表代行などを歴任。
※週刊ポスト2021年11月5日号