具体的には脚の付け根からカテーテルを挿入、がんの近くまで到達させ、がん細胞に直接栄養を送っている動脈にiPS-NKT細胞を投与して、がん細胞を攻撃する。
「頭頸部がんには通常、抗がん剤や放射線治療を行ないますが、いずれも長期間の治療を継続する必要があります。また咽や口腔内のがんの場合、放射線照射で、ひどい口内炎が起こり、食事すらできないことも。特に頭頸部がんは再発しやすいですし、合併症が少ないがん治療の選択肢がひとつでも増えるようiPS-NKT細胞動注療法(動脈に直接、投与する方法)の研究を行なっています」(飯沼助教)
現在も医師主導治験は継続中だ。今以上に安全性と有効性がよりよく確立され、世界初の治療法として臨床での普及が望まれている。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2021年11月5日号