芸能

初主演作で“おふざけ”覆したムロツヨシ シリアスな父親役はなぜ共感を呼んだのか

ムロツヨシ

『マイ・ダディ』の台本に惚れ込んで出演を決めたというムロツヨシ

 現在公開中のムロツヨシ主演の映画『マイ・ダディ』。本作はムロにとって初の主演映画ということもあってか、SNSなどの口コミでは、「ムロツヨシのシリアスな演技に惹き込まれる!」、「ムロさんの“おふざけ無し”の芝居にただただ圧倒された」といった言葉が並び、注目を集めているようだ。コメディリリーフとしての印象の強いムロが、今作でパブリックイメージとは異なるタイプの演技で観客を魅了している理由について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。

 * * *
 本作は、一人の男が愛する娘のために奮闘する物語。新鋭・金井純一監督(38才)によるオリジナル作品で、映像クリエイター支援プログラム「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM 2016」で準グランプリを受賞した企画を映画化したものだ。主演のムロは、この作品の台本に出会って2時間後には「この世界にいたい。この人(主人公)になりたい」と出演を即決したのだという。本作は、それほどまでにムロが、本作で描かれる物語や役に惚れ込んで臨んだ企画なのだ。

 物語のあらすじはこうだ。最愛の妻に8年前に先立たれ、中学生の娘・ひかりと2人で暮らしている主人公・一男(ムロ)。彼はガソリンスタンドでアルバイトをしながら、小さな教会の牧師として地域の人々と温かい交流を結び、男手一つで愛娘を育ててきた。そんな穏やかな日々を送っていたある日、突然ひかりが倒れ、白血病だと診断されてしまう。そのうえ一男は、「ひかりは実の子ではない」という衝撃的な事実を医師から告げられる。ひかりに適合するドナーは数百万人に1人だが、血縁者は適合率が上がることに気付いた一男は、大切な娘を何としても救うため奮闘する。

 ムロの他にも、本作は多彩な顔ぶれとなっている。一男の愛娘のひかり役には、長澤まさみ(34才)や浜辺美波(21才)らを輩出した「東宝シンデレラ」オーディション出身の新星・中田乃愛(18才)。父親を大切に思いながらも、つい反抗的な態度を取ってしまう少女を瑞々しく演じている。そして一男の最愛の妻・江津子役には、出演作が相次いで公開される奈緒(26才)。映画やドラマに引っ張りだこの彼女が優しい妻、母を演じ、本作の持つ温かさを底上げしている。そのほか、毎熊克哉(34才)や小栗旬(38才)、光石研(60才)ら若手からベテランまでが揃い、手堅くも挑戦的な座組となっている。

 冒頭でも触れたように、ムロが映画で主演を務めるのは本作が初めて。ムロに課された役割は大きかったはずだ。何といっても彼が演じるのは“父親=ダディ”であり、タイトルロールなのである。“作品の顔”として常に映画の中心に立ち、クスリと笑えるシーンも、涙を堪えられないシーンも、ほとんどを彼がリードする形で一手に背負っていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
埼玉では歩かずに立ち止まることを義務づける条例まで施行されたエスカレーター…トラブルが起きやすい事情とは(時事通信フォト)
万博で再燃の「エスカレーター片側空け」問題から何を学ぶか
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
米利休氏とじいちゃん(米利休氏が立ち上げたブランド「利休宝園」サイトより)
「続ければ続けるほど赤字」とわかっていても“1998年生まれ東大卒”が“じいちゃんの赤字米農家”を継いだワケ《深刻な後継者不足問題》
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン