大勢の仲間たちに見送られた引退式（写真／JRA）
勉強会では、たとえば西田君が試験官になって僕に質問して、その答えに対してさらに突っ込んでくる、というシミュレーションもしました。中途半端に返答すると、足りない部分や矛盾点を攻められることで、試験の緊張感もつかめたと思います。
今回は一緒に勉強会で励まし合った3人が合格して本当によかった。調教師試験を受けようとするなら、騎手時代の成績なんて関係ないんです。この勉強会がずっと続いてくれればいいなと思います。
よくジョッキー同士歳が近いとライバルだとか言われる。僕なんかは武豊騎手と競馬学校の同期だからずっと言われてきたけれど、ライバルっていう感じではない。これは騎手の時もそうだし、調教師になってからでもそうだと思います。
僕たちは仲間を相手にして勝負をしているのではなく、目の前にいる馬たちをちゃんと見て仕事をしなくちゃならない。だから、同期のジョッキーが勝ったりすれば、それは「僕も頑張らなくちゃ」という励みになる。
開業して最初にだれが勝っても、お祝いを言うと思います。
【プロフィール】
蛯名正義（えびな・まさよし）／1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGⅠ26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。今年2月で騎手を引退、来年3月に52歳の新人調教師として再スタートする予定。
※週刊ポスト2021年12月3日号
