スポーツ

マイルCS 2強に割って入るのは幾多の経験を経て成長したサリオスか

サリオス

大阪杯出走時のサリオス

 秋のマイル王決定戦は「本命馬の引退レース」をどう見るかによって解釈が分かれそうだ。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
 グランアレグリアとシュネルマイスターの一騎打ちというのがもっぱらの前評判。そこでまずは2頭の「死角」をあら探し。そのうえで割って入る馬を考えてみる。

 グランアレグリアは、天皇賞(秋)3着後、香港マイルも候補にあがったが「出走に際しての歩様のチェックが非常に厳しく」(サンデーサラブレッドクラブHPより)ということから、こちらに出走を決めたという。ここが引退レースになる。

 出走するからには万全の態勢なのだろうが、今年は2000mの天皇賞(秋)を大目標に調教を重ねてきた。天皇賞では牡馬2000mのGⅠ馬相手に、勝ち馬からコンマ2秒差の1分58秒1で駆け抜けるまでに適応している。GⅠ4勝をあげている得意な距離であることは間違いないが、マイルに戻って馬に戸惑いはないのか。東京2000mの激戦から中2週の輸送競馬というのはどうなのか。

 NHKマイルカップの覇者シュネルマイスターは秋初戦の毎日王冠で、安田記念を勝ったダノンキングリーを競り落とした。春は弥生賞(ディープインパクト記念)で2着になったにもかかわらず、クラシックには目もくれなかった若きマイラーだ。

 平成以降、3歳馬(旧4歳馬)でこのレースを勝ったのは1997年タイキシャトル、2000年アグネスデジタル、2017年ペルシアンナイト、2018年のステルヴィオの4頭。天皇賞(秋)を勝ったエフフォーリアが2002年以来の3歳馬勝利だったのに比べれば、まだハードルは低そうに見える。しかも3歳で勝ったこの4頭はいずれも初GⅠ勝利だ。タイキシャトルは4月のデビューだったものの、アグネスデジタルはNHKマイルカップ7着。ペルシアンナイトとステルヴィオはクラシックで健闘はしている。4頭とも夏場にさらに力をつけたのだろう。

 一方、GⅠの勲章を掲げて出走した3歳馬は1頭も勝っていない。桜花賞馬キョウエイマーチが2着、ダンスインザムードは天皇賞(秋)2着からの中2週でやはり2着、桜花賞とNHKマイルカップの2冠馬ラインクラフトも3着。NHKマイルカップの勝ち馬は過去11頭がその秋のマイルCSに出走しているが、ラインクラフトのこの3着が最高だ。

 過去10年で見ても3歳馬はGⅠ馬11頭を含む33頭が出走して2勝3着1回。勝っていたGⅠの内訳はNHKマイルカップ5頭、桜花賞4頭(うちレシステンシアは阪神JFも勝っている)、朝日杯FS1頭、安田記念1頭。

 また秋になって古馬相手の重賞を勝ったのが8頭。このうちミッキーアイルがNHKマイルカップとスワンSを勝って1番人気に推されたが13着。サリオスが朝日杯FSと毎日王冠を勝って2番人気だったが5着など、1~3番人気に支持された5頭はいずれも馬券圏外に去っている。素質は十分だが期待に応えるメンタルがまだ備わっていなかったのだろうか。

 では3歳での挑戦は無謀なのかといえばそんなことはない。過去10年に3歳でマイルCSに挑戦した33頭のうち14頭は、古馬になってから、GⅠ4勝を含む重賞24勝。つまりここでの戦いが確実に糧となっている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
〈# まったく甘味のない10年〉〈# 送迎BBA〉加藤ローサの“ワンオペ育児”中もアップされ続けた元夫・松井大輔の“イケイケインスタ”
NEWSポストセブン
Benjamin パクチー(Xより)
「鎌倉でぷりぷりたんす」観光名所で胸部を露出するアイドルのSNSが物議…運営は「ファッションの認識」と説明、鎌倉市は「周囲へのご配慮をお願いいたします」
NEWSポストセブン
逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン