「息遣いでお客さんを興奮させるためアフレコでは男も大袈裟に声を出します。ハア、ハアと息を吐き続けるのでよく酸欠状態になり、目眩がしましたよ(笑)」

「息遣いでお客さんを興奮させるためアフレコでは男も大袈裟に声を出します。ハア、ハアと息を吐き続けるのでよく酸欠状態になり、目眩がしましたよ(笑)」

 7、8本目に出た『女教師 私生活』(監督/田中登、主演/梢ひとみ)は、コンテストで入賞したシナリオを映画化したもので、事前にスポーツ新聞で記事になりました。まだ結婚前だったうちの女房がそれを見て「あなたの名前も出ている!」ってすごく喜びましたよ。女房は僕の映画は観ませんでしたけど、出ることに反対はしませんでしたね。

 親父は当時新東宝でピンク映画のブッキングの仕事もしていたくせに「ロマンポルノなんてやめろ」と反対し、お袋は逆に「やるなら一生懸命やりなさい」と応援してくれました。舞台の仲間からは「お前、芝居が上手だな。ホントにヤッてるみたいだ」と褒められました。

 ギャラは1本目が5万円、2本目以降は20万円。つまり濡れ場手当が15万円ですね(笑)。当時、大卒初任給が5、6万円の時代ですから、かなり助かりました。

(後編につづく)

【プロフィール】
風間杜夫(かざま・もりお)/1949年4月26日生まれ、東京都出身。今年俳優生活50周年。2020年度菊田一夫演劇賞大賞受賞。落語の高座も務める。ドラマ『日本沈没一希望の人一』出演中。芸能界随一の雀士としても知られる。

※週刊ポスト2021年12月3日号

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