一方、下町の代表とも言える台東・墨田区は、“職人の町”の顔を今も残し、自宅従業者比率(自宅と一体化した商店や事務所、作業所で従業する人の割合)が高い。
しかし、住民の層が近年、変わりつつある。台東区にはかつて「山谷地区」と呼ばれた地域があり、現在でも簡易宿泊所には日雇い労働者が多数住んでいるが、最近では年金生活者や生活保護受給者などが暮らす「福祉の町」としての性格を強めている。
「平均年収がもっとも低い足立区でも、千住曙町や新田3丁目などの地域は、大規模工場の跡地にタワマンが建設されたため、隣接するエリアと比べて平均世帯年収が200万円以上多い高所得地域になっています。深川など下町エリアが中心だった江東区でも、豊洲を中心とする湾岸地域にタワマンができ、ITERF(ITやエネルギー、研究、金融などの産業)の従事者が流入し、所得水準を押し上げています」
※週刊ポスト2021年12月3日号